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十一
女達とイルカとの違い。それは寄って来るか否かだ、と乳房を掴みながらカカシは端的に思う。
イルカからの好意がまるで無いとは思わなかったが、此方からの甘い誘いには乗らない。だが見ていれば受付で任務帰りの男の酒の誘いには頷くし、仲間達共よく出掛けている。
けれど閨に持ち込んだとは誰からも聞かなかった。さりげなく飲んだ時の様子を聞いてみたが、その男は普通に楽しく飲んだだけだとその事に満足していたのだ。
感情を置き去りにして生きるカカシには、其れで良いのだと言い切る奴が理解出来ない。体を繋げた方が手っ取り早くて楽しいのでは無いかと首を傾げる。
「ねえ、何故あんたはオレの誘いを断り続けたの。」
騎上位で腰を揺らして汗を滴らせるイルカの乳首を摘まんでカカシは聞く。
―どっちにしろこうなったんじゃない。
細い腰を掴んで押さえ、下から突き上げながら言ってごらんと攻める。
「好きだったから、もっと好きになったらどうしたらいいか判らない。」
上気した顔を歪め、イルカは大きく息を吐いた。
「ヤりたかったんじゃないの。」
冷たく言うと細かい突き上げを繰り返し、カカシは精液をイルカの膣奥に放った。自分でも気付かない程浮かれているカカシは、今日もゴムを着ける事を忘れている。
動きを止めて跨がったままのイルカは俯いてしまった。
「気持ちの問題です。ただ好きなだけで。」
見ているだけなんて理解出来ない。とカカシはイルカの茂みに手を入れ、陰核を摘まむ。ぐりぐり捏ねてイルカが無意識に膣を締めて達した直後に、カカシはイルカを抱き締め立ち上がった。
襖を開け放したままの居間から入る明かりが、暗い寝室に蠢く二人に先日の一夜を思い出させ、空気が甘く湿った気がした。
「駅弁ね。」
尻を掴んで抱えると、イルカの脚は宙でぶらぶら揺れる。向かい合い豊満な乳が胸板に潰される様はなかなか面白い、とカカシは腰を前後に振った。
結合部から滴る二人の快楽の液は絡み付く黒と灰色の陰毛にきらきら光る。それにカカシの背筋がぞくりと興奮に跳ね、二度目の欲を吐いた。
イルカとなら何度でも出来る。任務に赴く迄毎日でも犯したいと思う。
「ねえ、感じてないの?」
ベッドに転がり、首筋に流れる汗を耳の後ろ迄舐め上げて息を吹き掛けると、イルカはあんと鼻に掛かった声を出した。
「体の中で、少し…何か変な感じが。」
此処かい、とカリが探し当てた場所を指の腹で擦ると、イルカが唇を噛んで目を閉じ腰を引いた。
「まだ二度目なのにねぇ、い・ん・ら・ん。」
任務の時には幻術使わないで全部くわえ込んじゃえばいいじゃないの。其れまでに中だけでイケるようにするからさ。と言い捨てシャワーを浴びてさっさと帰るカカシを見送りながら、イルカは辛さと喜びない交ぜの思いに暫く裸のままで泣いた。

イルカが任務に出る前夜迄、カカシはほぼ毎日イルカを抱いた。深夜でも明け方でもお構い無しに訪れるが、血の付いた爪の間に気が付いた時には自分から股を開いて受け入れた。肩を噛み付かれ血を流し、強く握られた手首や腰には痣が出来た。前戯も殆ど無く突っ込まれ、悲鳴を上げそうになって歯を食い縛る。
翌日痣を見付けて、カカシは黙ってイルカの髪を撫でた。泣きそうな目に、イルカも黙って抱き締めた。その夜はただ奪い合うような繋がり方だった。

カカシの執着は最後の日に歪んだ。カカシはイルカの体中を、舐めて舐め尽くしてひと晩明かした。
気付けば朝で、そうして昇る朝日の光の中でイルカに口付けると、眩しそうに目を細めカカシは一瞬にして消えた。

一睡もしないままイルカは女性教師達と里を出て、夜には国境の郭に到着した。
休む間も無く早速何枚もの着物に手を通し、これがいい駄目あたしが欲しいの、とかまびすしい。任務でも少しは楽しまないとね、と遣り手の女将が新調してくれたのだ。
無理矢理の流しの芸妓達という振れ込みに、避暑の季節柄なのかその宿場町のたった一つの郭は賑わいを見せた。
流しは体も売るのが当たり前なので、お座敷で騒ぐ間に品定めをされ遊んだ後に指名される。
年若い女が良い訳でも無く、その場の駆け引きが重要なのだ。郭専属の芸妓との一日数回のお座敷で其れを学んだイルカはこの日、躊躇いながらも駆け引きを仕掛けた。
禿げかかった男は遊び方を知らず、酒を飲みながら誰でも構わず着物の裾に手を入れていた。情報を売って初めて得た大金で舞い上がっているという。その情報のルートを突き止めるのが任務だ。
遊びの終わり際に、幼さが残る郭の芸妓を引き留めた男の前に、イルカは立ちはだかった。ぐいと胸元の袷を開きたわわな乳房を見せ付け、その谷間に落花生を落としてぷるんと振ると、踵を反して部屋を出ながら目で誘った。
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