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カカシは本能に従った。口を開けないイルカの胸を鷲掴むとあぁと声が漏れ、その隙に舌を差し込み逃げるイルカの舌を追って絡ませる。
歯が当たり、カカシは追い込むつもりが追い込まれた自分に苦笑いした。
一旦唇を離し、イルカの体を横たえた。角度を変え、また舌を追う。流れ出す唾液を飲み込んだカカシは、毒なら今死んだな、と頭の半分は冷静だった。
なのに、止められない。
両手でイルカの胸を揉みながら、跨がるカカシの腰が自然に動き出し、イルカの下腹部に擦り付けていた。
あり得ない、と思った。
今まで張り詰めた陰茎が膣に挿入直前だったとしても、女の不用意な言葉ひとつで簡単に萎えていたのに。
というより、此処まで切羽詰まった事などなかったのだ。
正常な成人男性ならば、何日かおきに欲が頭を持ち上げるだろう。忍びは特に戦いで荒げた気分の時に性欲が強まるが、それがカカシは任務の分だけ人より頻繁だった。その度に都合良く女からの誘いがあり、欲は吐き出せた。
だが今は上忍師として里に在駐する時間が長く、落ち着くと次第に女達が鬱陶しくなった。
カカシは気付かなかったが、元々薄かった女達個人への興味は関係した女の顔を覚えていない程薄くなっていた。
イルカだけが、初めて手に入れたいと思った存在だ。
イルカの首筋に噛みついて吸い、赤く鬱血したそれを見てカカシは少し落ち着いた。自分のものになった気がしたのだ。
ふと見ればイルカが手で顔を覆い、微かに震えている。
「すみません。」
何故謝るのかカカシにも解らない。ただ口をついて出る言葉はそれしかない。
「…それはどういう意味ですか。」
片腕で目を覆ったままイルカが問う。
カカシはイルカのアンダーシャツを破いていた。胸の尖りもあらわになり、髪は畳に広がって強姦の真っ最中だと、言い訳も出来ない有り様だ。
「無理矢理なんて、そんなつもり…。」
嘘だ、そのつもりだっただろうが。
「私、カカシ先生、になら、いいと、お、思っ、て…。」
イルカがしゃくり上げながら腕を下ろし、涙の溢れる目でカカシを見上げた。
「カカシ先生に、どれだけ女性がいても、私が、カカシ先生を好きだから、初めては、好きな人がいいから、」
ぐちゃぐちゃな顔を歪めて真っ赤になりながら、懸命に言葉を紡ぐ。
「もうすぐ、郭に、出されるんです。」
アカデミーの夏休みはひと月半。忍びの勘のなまった教師を任務に駆り出すにはちょうどいい長さだ。
イルカ達くのいちは郭の諜報に出される。腕に合うランクの任務が戦場になかったから、というだけだが。
幻術で誤魔化せれば良いが、イルカは自信がない。
それを知っていて任務だから覚悟はしておいた方がいいよ、と年かさの女性教師が告げたのだ。
いい男だったらわざと術は使わずに寝ちゃえばいいじゃない、天国見ちゃうかも。と耳打ちした同僚は昨年わざわざそれを志願した。
イルカが処女だろうが任務には関係ない。幻術が出来なければ他の方法を考えろと、仮にも中忍だろうと言うのだ。
「私、ずっとカカシ先生が好きでした。一回だけでいい、酷くされてもいい、私を抱いてください。」
涙は乾いたが、目は真っ赤に腫れている。
カカシも正直に語り出した。
「オレは女と抱き合った事はありません。後ろからのただの処理で誰でも良かったんですよ。」
それは同じ女性としては酷い話だった。けれど。
カカシが自分を抱いてくれるなら、二度と会えなくても、たとえ里に帰れなくても構わない。とイルカは覚悟した。ただやはり、怖かった。
カカシは黙って二つの膳を廊下に出し、ふた晩でも釣りが来る程の札束を乗せておいた。
隅に出されたままの布団を広げれば、ぷんと妖しい香が漂った。忍び御用達か、とカカシは肩で笑う。
天井に蛍光灯はなく、間接照明のほの暗い灯りが点いていたのは昔の名残だ。此処を知っていれば常連客でひと部屋借りっぱなしだったろう、とカカシは思った。
「カカシ先生。」
とイルカがはだけてしまった胸を腕で隠しながら固い表情で呼んだ。
「私、任務だと思って抱かれます。最後に評価をお願いします。」
「いい覚悟ですね。では遠慮なく貴女を可愛がりましょう。」
仄かな香りに二人は酔い始めた。気分は高揚し体も痺れるように熱く、芯を貫く快感を欲して獣のように絡み合う。
カカシは口付けながら服を剥ぎ取り始めた。半分切り裂いたシャツは、乳房を被う布と共に引き千切った。
下肢からズボンを抜く時にはイルカから腰を浮かしたのでするりと抜けた。よく出来ましたと誉める。
小さな三角の下着が一番見たい場所を隠していた。カカシの視線が恥ずかしいと隠そうとするので、腰を掴むと一気に引き下ろした。羞恥と驚愕にイルカはぎゅうと膝を揃えた。
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