イルカの部屋でクリスマスパーティーを開いた七班のこども三人は、帰り際に初詣の約束をした。
じゃあ元日の午前中に迎えに来ますね、と曖昧な約束は夜更かしでイルカ達三人が起きられないだろうと、優しいサクラの配慮だった。
サクラは両親と年末年始を過ごすが、ナルトとサスケはひとりぼっちだから今年も三人で除夜の鐘を聞こうと昨夜のうちに誘っていたのは、実はイルカが寂しかったから。
「カカシ先生もお休みだったらご一緒に。」
いいなあ、とカカシの顔に書いてあったからだ。しかし、自分からは言い出せない。昨夜イルカに告白するまでの果てしない道程を思えば、と少女は気を回し。
「大晦日は、カカシさんは警戒任務になっていましたよね。」
「はい、朝までなので初詣は行かれます。オレもいいんですか。」
カカシさん、などと親密そうに呼び方変えてんのに、なあにを今更だあぁ! とサクラは焦れったくて仕方ない。これから先が思いやられるのは脇の少年達も同じようで、これでは交際も立ち消えになるのではと危惧する。が、彼らはカカシの本気を知らなかっただけで。

今日から七班は、年内に終わらせたいと持ち込まれた任務を一日何件かこなす。大概は掃除なので、カカシに緊急召集が掛かっても三人でできるだろう。
と、ひとつ目の任務の最中にカカシは里外へ出る事になり、次はカカシなしでは無理だと翌日に回してもらい、アスマ預かりで合同任務にしてもらった。大仏のあるような大きな寺は人海戦術だからと、紅の班もいた。
上忍師二人は休憩室で、昨夜の様子を聞かせろとせがんだ。サクラが事細かに話したお陰で見てきたように理解でき、良かったと心から安心したのだった。
「ねえサクラ、そのペンダントっていくらだったの?」
紅はやはり金額が気になった。が、サクラは言わない。促せばゆっくり指を曲げて金額を示した。
「六百、両?」
サクラは首を横に振って手の平を上に向け、もっと上だと持ち上げる仕草をした。
「六千両?」
頷いたサクラは、イルカ先生には絶対言わないでくださいね、と紅とアスマの腕を掴んで念を押した。
ナルトがそれって一楽のラーメン何杯分だと聞くので醤油ラーメン一万杯、と答えたがかえって解らない。
「アスマ先生のクナイ百本。」
アスマが驚いた。上忍だからといって易々と買えない金額のクナイだ。しかも現金払いだと。
聞かなかった事にしてくれよな、紅。
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