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「あたしここね。」
すかさずイルカが台所に近い席に座ると、やっと気付いた三人が口々にお帰りなさいと言ったが、先生は動かなくていいからと奥へ押しやった。
オレはどこ、とカカシが聞くとナルトが少し悩んでイルカ先生の隣でいい、と座蒲団を指さした。
嫉妬ありありだな、とカカシが移動しながらサスケに小声で言うと、当たり前だと不機嫌に返された。あー前途多難、とカカシは呟いたが、お前ならいいとサスケは睨みながらも認めてくれた。だがカカシの前に皿を置きながら、俺達もいつまでもこどもじゃないぞとサスケは喧嘩を売った。
だよねー、一回り位年上だって十年後は夫婦でもおかしくないねー、とカカシは想像してくそっと声が出た。
先生馬鹿ね、挑発に乗らないの。サクラが笑って冗談に決まってるでしょ、と言うがどうだか、とカカシは焦る。
今日あたりイルカに言えたら、とは考えていた。世間のお祭りに乗っかっちゃえばいいかな、でも安易過ぎないか。
「イルカ先生、クリスマスに告白されるのっていいと思いませんか。」
サクラが女同士の話を始めた。
「そうねえ、夢ではあるわよね。」
イルカは点滅するツリーの電球を見詰め、ほうっと息を吐いた。向こう側で、サクラがカカシに聞いていろと目で訴えていた。勿論カカシは聞き逃すわけはない。
「記念日になるし、何か皆が祝ってくれてるみたいよね。」
でもいつでもいいの、二人だけの記念日なら。とイルカが頬に両手を当てる仕草にカカシは動揺して、皿のチキンを取り落とした。
ハードル低すぎます、とサクラが笑いイルカも恥ずかしそうに騒いでいる。
お腹も大分膨れた頃、プレゼントいきましょうか、とサクラが時計を見上げた。待ってましたとそれぞれ荷物から箱を出し、ちゃぶ台に置いてわくわくとした顔にイルカは戸惑った。
「あたし…何もないけど。」
「はい、いいんですよ。今日はイルカ先生のためなんですから。」
カカシがイルカの肩に手を置き気にしないで受け取って、と言う。
「卒業して任務について、イルカ先生の教えてくれた事が漸く解りました。」
とまずサクラがお辞儀をして箱を差し出した。
「術がどれだけできようが俺はまだまだこどもだと、気付けて良かった。」
とサスケも謙虚に頭を下げる。
「母ちゃんで姉ちゃんで、死ぬまで一番の先生だってばよっ。」
ナルトはイルカに抱き付こうとして、首根っこをカカシに掴まれた。
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