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帰還
パパ、おはよ。と二人がカカシの上に登り踏み付け、ぺしぺしと顔や体を叩く。いくら小さい手でも、四本では痛いし煩わしい。
今日は休みでしょ、と呟くと耳元でママかえるって、とミナミが嬉しそうに言った。続いてカア、と間抜けな一声がする。
目を開けると、ホナミが縫いぐるみのように烏を抱き締めてカカシを見ていた。
今何時だ、と枕元の時計を見ると朝と昼の中間だった。苦しい、と烏がホナミの腕の中でもぞもぞ動き、イルカの元へ帰ると言う。もう途中迄来てる筈だから、夕方には着くぞ。
え、と勢い良く起き上がったカカシは掃除だ、と叫んだが、二人にご飯だちっこだとせがまれあたふたする。
かげ、だせば。と言われてそうだ影分身だ、と二人も出して指示をした。一人は掃除、一人はおむつ換え、本体は離乳食作り。イルカの作り置きの冷凍された素材に少し材料を加えて火に掛けて。元々器用なカカシは、確実に腕を上げたようだ。
全て終わらせて昼過ぎになって、既に赤ん坊達は昼寝の時間だ、と眠り始めていた。どうしよう、せめて門まで迎えに行きたいけどこれじゃあね。時間までに起きてくれないかな。
イルカ達が里近く迄帰って来たらもう一度知らせに飛んで来ると、烏が言ってくれた。あいつはすっかりイルカに馴れてしまったようで、まあ裏に林もある事だし、居着いてくれてもいいかな。
「ただ今帰りました。」
いきなり玄関から愛しい妻の声が聞こえ、カカシは忍びとは思えない程の大きな足音をたてて走り出した。
二週間振りのイルカ。
抱き締めて、温かく柔らかなイルカを確かめると、カカシはお帰りなさいと口付けを落とした。小さな体はいつも通りに腕に馴染み、二週間もいなかったという事実が嘘のようだ。
少し背伸びをしてカカシの頬に手を当てると、イルカはありがとうございました、と夫を労った。
「烏から毎日報告を受けていたので、長く留守にしていたとは思えません。」
けれど、何より、貴方に会えないのが辛かったのです。と俯き、イルカは安堵の溜め息を細く長く吐いた。ぎゅっとカカシの服を握り、染めた頬を上げて二人見詰め合う。そこにだだだだ、と足音がして、寝起きのこども達が目を擦りながら玄関まで走って来た。
あらら、いいトコだったのに。とカカシの心の声は、眉間に表れてしまった。後でね、とイルカは笑み膝を着いて、手を広げた。どんと体当たりした二人を苦もなく受け止め、抱き締めて。
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