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家族
その夜、カカシはイルカから仔細を聞いた。いいんですか、と問うと貴方にも理解しておいてもらわないと、と微笑まれて。また、この人は―。策略家だなあと、こっそりカカシは思った。
実は、と切り出されて知らないよぉ、と素っ頓狂な声を上げてしまった。裏の任務について。
あんたの国はこのままでいいの。反乱を起こそうなんて考えない方が利口だよ、と木ノ葉の忍びの強さを体で体験してもらったのだと。
一応ただの演習としてのつもりだったんですけど…。
それで?
負傷者が出まして。
えっ、イルカは怪我しなかったか?
はい、あちらの上忍が数名程。
よかった、擦り傷でも許さないからね。
やったアタシらが中忍だという事もあちらには恥でしたし、アタシの夫が貴方だって解ったら途端に殿様待遇に為りました。
えー、何それ。―待って、さっき一応とか言ったの。
はい、お偉いさん方の前での教師同士の術や型の披露ですが。
数日前に教師に採用された上忍達、明らかに木の葉より強いのだと示すその演習の為だけに。けれど、侮っていた事に気付いたのは全て終わってからだった。
中忍だからって女だからって、舐めんじゃないわよ、とその場のノリでタンカをきった同僚のあだ名は鉄火巻きという。それを聞いたカカシは大笑いをした。
「貴女が一番先にやるかと思ったのに。」
口を尖らせて残念です、とイルカは本気で言った。
「でもね、学校の生徒達も見学していたので、ちょっとカッコ付けちゃいました。」
イルカは頬を染めて、両手でその頬を押さえる。
何をしたかなんて、今は聞くのが恐いと、カカシは思った。だが、心の準備をして近い内にそこへ行って、造反を牽制しがてら聞いてみようかな、と思い直してちょっと楽しみに為ったのは、イルカには内緒で。
ママの側がいいと、居間で話す両親に纏わり眠ってしまったミナミとホナミを二人見詰めて、幸せを噛み締める。
この子達の為に、貴女の為に、貴方の為に、努力しましょう。
日も高く昇った頃、ぺたぺたと父と母を起こしに二人が歩く足音が聞こえた。
イルカは、夢から浮上しつつ思う。たった二週間いなかっただけで、足取りもしっかりしたみたい。今日は二人の足跡の型でも取ろうかな。明日になったらまた大きくなっちゃうもんね。
隣のカカシも、足音に目が覚めたようだ。先ず二人でおはようと。そして体に登って来る子らに、揃っておはようと。
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