10

休息
サスケとナルトは緊張していた。子守の任務は何度も受けたが、この背中には大事な先生達の子だと。しかし当人達は、いつものカカシの視野と違うとはしゃぎ気味だ。
よく似合うわよ、とサクラに言われてサスケはむっとしたが、ナルトは俺も若いパパに為りたいとサクラに向かって照れて、やだ、あんたがパパって柄なの。一蹴されて終わった。
赤ん坊をおぶった二人に落としそうで怖いと言われて、木の上を跳んで帰るのはやめた。たまにはいいか、と来る時に確認した小高い丘に寄り道をする。
猫達を風呂敷に包んだまま腕に抱いて、驚かさないように走っていたカカシは、休憩だと芝生のように密生した草の上に猫達を下ろした。
敵ではないと認識したが、まだ味方かどうかは判別しかねる、といった目付きで母猫は子猫達を囲い込む。
「かーいーねー。」
「ちーちゃ、にゃいちぇりゅ。」
背中からチビ達を降ろしほっと息を付くと、その隙に猫の側に座り込んでいた。
何だって、と三人がカカシを見ればかわいいって、小さいの鳴いてる、ってさ。と通訳してくれた。ホナミもミナミも頭脳に身体の機能が追い付かないから、まだ言葉も判り辛い。カカシは覚えている限り自分もそうだったな、と微笑む。
ちっこ、でた。はいはい、と手間もいとわず二人のおむつを換えるカカシは、敵を前に鬼のような顔をする男とはまるで別人だ。部下達は未だに信じられない。
きゃあきゃあとはしゃぐ双子は瓜二つだ。目の色はミナミが黒でホナミが青で、それで皆は見分けるしかなかった。
髪の色は別々の黒と白から、不思議な色に変化して来た。人口灯の下では黒っぽい灰色に、太陽の下では輝く白銀に見えるのだ、それも二人共。父とも母とも違う色。
顔はまだまだ赤ちゃんらしくて可愛い、としか表現出来ないが、それでも将来が楽しみだとよく言われる。
父は冷たく整っているが、眠そうな垂れ目が普通っぽくて女心を擽るのよねえ、とは世の中の女性を代表した紅の言い分だ。
母はそれこそ淑女の見本のような優しい笑みで、受付の薔薇だ牡丹だ、と男心をわし掴みにする。
どちらに似ても間違いなくいい男といい女になるだろうと、それはそれは楽しみにされている、ミナミとホナミ。あと二十年、長生きしてやるよ、と町の御隠居達は笑っていた。
眠くなったみたいですよ、とサクラが小声でカカシに教える。二人共目を擦って大きな欠伸をしたのが見え、帰ろうか、と声を掛けた。
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