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同行
はっ、とカカシは我に還る。えっホナミ、ミナミ、何処だ。
慌てて家の中に戻ろうとして、カカシはポーチの段差にすっ転んだ。サスケが鼻で笑う。立ち上がれないカカシの横を摺り抜け、サクラが玄関を開けて二人を呼んだ。
とてとてぱたぱた、と覚束ない足取りの赤ん坊達が現れ、甲高い声でおはようございまっしゅ、と頭を下げる。かっわいー、と負けずに甲高い声でサクラは二人に頬擦りをした。
「サクちゃん、パパいるでしょ。」
ミナミが外を視線で示し、お願いしますとホナミが手を振る仕種で、自分達は留守番をするつもりだと知れた。
サクラは慌ててカカシに怒鳴る。二人共留守番するつもりですよ。
長い脚を縺れさせながら飛び込んで来て、カカシは双子を捕まえた。
「お前ら、パパと一緒に行かなきゃ駄目。」
だって邪魔になるから。俯く二人をきつく抱いて、カカシは言い聞かせる。火影命令だよ。
おずおずと、小さな声で、いいの?、と。
聞き分けが良すぎるのも困るよなあ、とカカシは苦笑いして。皆の監視をしててくれ、とカカシが言えば、俺達はいつもちゃんとやってんじゃんかよ、監視はカカシ先生の方だろ、とナルトが喚いて漸く二人も笑い顔を見せた。
さあて、とカカシが二人を抱えたまま立ち上がり、 子連れ任務が始まった。
いつも通りの簡単なもの。受け取った紙面には、猫の捜索とある。なあんだ、と溜め息を付けば、隅っこに小さな注意書き。場所は、演習の為の小さな林の中。
物置で子猫を産んだのを知らずに、戸を開けたら逃げた。お腹の大きな野良猫を、産んだら親子共々飼うつもりだったのだ、と老夫婦が気を落とす。
何匹も、くわえて往復したのか草を踏み分けた跡が林に向かっていたのだと。ただでもやろうと一致団結し、奇妙な集団は跳んだ。
双子はカカシの背中の定位置へ。右にホナミ、左にミナミ、と肩口にしがみつかせ、チャクラで吸引する。双方チャクラの質が似ているのか、非常に相性がいい。どんな体勢でも離れないのは流石カカシのこどもだ。
生まれてまず心配されたのは、忍びに向いているかどうか。
素質はあるかと新生児を確認に訪れたお偉方を、ふざけるなと一喝したのはカカシだった。たとえ忍びになれなくとも、オレの子には変わりはない。一般人に養子に出すという事例を、イルカが心痛め泣いたのを知っているから尚更。
けれど二人とも充分過ぎる程素質はあり、そして父に似て成長も早かった。
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