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成長
漸くひと月ふた月たち、イルカもカカシの協力により心身共に落ち着いた。
こども達の検診には、いつも二人で連れ立って行った。着替えやおむつの大きな鞄を持つイルカと、いつもの怪しげないで立ちのカカシがこども達を自慢気に両腕に抱いて歩く姿は、全く奇妙な光景だった。
ミナミもホナミも、毎日の散歩で様々な町の人に抱かれあやされ、人見知りをする暇もない。
不思議なのは、どちらかの子がどちらかの親に似るという事もなく、ナルトには双子なんだねえ、としみじみ言われた。男女の二卵性だからこれから差が出るだろうが、今の所はそっくりである。
カカシも簡単ではあるが少しずつ泊まりがけの任務にも出るように為り、心配で影分身を置いて行った当初は、チャクラを使い果たして帰宅した。元々チャクラが多くない体質なのに、貴方にもしもの事があったら、とイルカに泣かれてカカシは影分身を置いて行くのを諦めた。
「二人共いい子達ですから、大丈夫。アタシは貴方が一番大切なんです。だから。」
イルカの潤んだ目には弱かった。そしてその晩、カカシは早速次の子を望んだのだった。
そろそろ首が座るのよ。と抱いてみると、大分しっかりしてきた気がするし、ずっしりと重い。
生まれた時の二倍に為ったと聞いて、成長の早さにカカシは驚いた。小柄なイルカが二人を抱えて苦もなく動く様子からは、微塵も感じられないのに。
「アタシ、体力だけは自慢ですから。それにしがみついてくれるように為ったんで、ほら手を離しても大丈夫。」
こども達は蝉のごとくイルカにくっついて。流石だなあ、とカカシの感心する所は少し違うかもしれない。
試しにと自分の体にしがみつかせると、確かに小さな手で服を力強く握る。更にチャクラを使えば、疲れてきても落ちる事もないようだ。その時にこっとイルカが何かを企むような笑いを見せた事には、カカシは気付かなかった。
それがきっかけで、家にいる時はカカシは双子の世話を更にするように為った。よく笑う。何か言葉のような声を出すのも嬉しい。寝返りは二人一緒に打った。
お座りはミナミが先だったけれど、立つのはホナミが先だった。と、カカシはカレンダーに毎日記録している。親バカだ。
赤ちゃん臭さも抜け、ちょこちょこと動き出した二人を連れて、イルカは時折何処かへ出掛ける。カカシには内緒で。疚しい事ではないが、あまり言いたくないらしい。
この日は火影の元へ向かった。
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