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「あんな風に煽られたら、あんたの事優しくしてやれない。突っ込んでめちゃくちゃやってしまいそうだ。」
だから、とその後を待てば唇が体に降りてちゅ、という音と共に鬱血の跡を残した。
「ねぇ、何がなの?」
「え?」
「だから、何が嬉しいの。」
イルカの左の乳首を舐めながら、カカシは上目使いに答えをねだる。
間があくと、右の乳首を摘まれて早く答えなさい、とぐりぐり力を篭められ尚更快感に溺れて答えられない。
嬉しいのは、とやっと声を出してカカシの髪を撫で付けると、その頬を両手でそっと包み込んだ。
「貴方が此処にいる事。」
今貴方と熱を分け合うこの一瞬が、なんと幸せな事かと。
「あんたは馬鹿だね、聞いてなかったの?」
うなだれたカカシはイルカの乳の間に顔を埋もれさせた。
「この先ずっと一緒だって言っただろうが。」
もう一度言わせないでよ、恥ずかしい。と文句を言うように照れた男を、イルカはただ凝視し続ける。
酔っ払いの戯れ事かと思ったから。
勢いであんな風に誘ってみたら乗ってくれたのは、いつもの事じゃないの? 
ただの睦言でしょう? 
誰にも言ってるんでしょう?
そんな疑問が次々と湧いてはくるが、それを口に出すのは躊躇われた。その代わりに顔に出ていたのだろうか、カカシは信じてくれよ、と情けない顔で懇願した。
「女の誘いに簡単に乗るような軽い奴に思われてるんだよね、でもそんなのに乗る程オレは浅はかじゃない。その前に、誰とでも飲みに行く程軽くもないよ。」
何を言ってるんだ、この人。とイルカはまだ見つめるだけだ。
「オレがあんたに誘われたと思ってるんだろうが、そう仕向けたのはオレだし。」
だからわざわざ横に並んで、顔を見せたんだから。それも最高の笑顔をさ。

カカシはやたらと人に懐かないし、顔も晒さない。飲みに行くなんて毒を盛られに行くもんだ、と相手は慎重に選んでいる。
女にだらしないなんて、誘いをかけて振られた女達のたわごとが広められただけだ。寧ろ謙虚で誠実だと、親しい者達は口を揃えて言うだろう。
真実はオレに近い者だけが知っていればいい事だと放っておいたのがまずかったのか。
「後悔先に立たず、だよね。」
独り言を声に出して、カカシは舌をイルカの体中にはわす。うん、汗さえも甘い気がする、と。

イルカの二の腕を押さえ付け、両脚も膝で挟んで動けないようにして、体で解ってもらうしかないと、カカシはむしゃぶりついてはこれでもかと跡を付けまくる。
耳の下、手首、隠しきれない場所は勿論の事。着替える時には見えてしまうだろう鎖骨、肩甲骨、ふとももまで。
ちゅう、と吸い上げる音がいやに生々しく、部屋の空気も足りないような気がして、二人の動悸は高まるばかりだ。

イルカがもぞもぞと、くすぐったいような小さな快感をその度に拾って逃げようとあがくが、殆ど無駄な抵抗だった。
「だからね、無駄なんだって。素直に堕ちて来なさいよ。」
意地の悪い微笑み方だ。何て悪い男なんだろう、と思いながらもその強引さがイルカには酷く嬉しい。しかしやはり、怖い、とも思う。全てを委ねてしまってもいいものか。
イルカが考えている間にカカシは更に赤い印を増やしていく。これだけ跡があれば誰も手を出そうとは思うまい。
しかし眺めている内に、虫に刺されたような打ち身にあったような、やり過ぎかという数になっている事に気付いた。
あはは、オレも馬鹿だね。でもやっぱり、あんたは誰にもやらないよ。
押さえ付けた腕はそのままで、脚を開放し自分の体を間に滑り込ませて、イルカの秘部が見えるように脚を開かせた。
黒い毛の間には、電灯に反射した液体がキラキラと光るその場所がある。
「あんたは全てが綺麗だよ。」
と自分なりの真実を言ったカカシを、イルカはまだ信じていないのだろう、眉を寄せてしかめっつらだった。
既に酔いはさめてるし、誰にでも言える言葉じゃないだろうが。
まあ言ってる奴はいるかもしれない、とふと思うとイルカが言われていたのではないかと、カカシは気付く。
誰に、イルカの体を開いた男達に?
体中の毛穴が開いたのでは、と思う程の怒りが込み上げた。オレをそんな奴らと一緒にするな。

カカシはイルカの腰に手を添え、目の前の秘部に鼻をうずめた。
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