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25 月齢二十三
また雨が降り出して、少し肌寒いかなと寝ぼけた頭で思う。布団の中の他人の体温が嬉しいと、オレは隣に眠るイルカの寝顔を見た。昨夜は歩いて帰るだけで疲れ切って、そのまま眠ってしまったようだ。リハビリの為と見栄もあったが、丸二日動いていなかったので流石にオレも堪えたのだ。
薄暗い部屋の中、カーテンをほんの少し開けてみれば病室で見たような霧雨に、景色は殆ど見えない。木々の緑が深く辺りを静寂に包み込む。
もう朝とは呼べないと云うのに、時間は止まったままのようだ。
外界から隔離されたような気になってオレは少し戸惑う。こうしてイルカと二人きりで居る事を望んでいたのではないのか。何故オレは心の底から喜んでいないのか。イルカがまだ外との繋がりを求めているからなのか。まだオレだけが全てではないからなのか。
何に苛々しているのか解らないまま、オレは乱暴にイルカの喉元に食らい付き、赤く印を付けた。
しかしまだ完全に回復していないオレの体は、イルカを組み敷く事すら出来ない。性欲はあるのに、と高ぶる自分をイルカに押し付け胸元のボタンを外そうとするが、指は細かい動きが出来ず震える。
私がやります、とオレの手を包みイルカは目を開けて微笑んだ。恥ずかしそうに躊躇いがちにボタンを外し、白い胸をオレに晒すとイルカは手を伸ばし、オレの頭を抱き込んだ。
オレは乳房に顔を埋め、柔らかい肌を舐め、噛る。乳首を口に含み舌で転がし思い切り吸う。ああん、と腰に響く喘ぎ声は近所に遠慮しない。唾液で濡れる乳房は、薄暗い部屋の中枕元の常夜灯に照らされて、なまめかしく光る。オレは力のこもらない腕をそれでも動かし、イルカの腰から衣服を剥ぎ取ろうとした。オレに合わせてイルカが動き、自ら服を脱ぎ捨てる。その手でオレも脱がそうとするので、黙ってするがままにさせた。二人で裸になる。そしてオレは期待で、イルカは羞恥で心臓の鼓動を急がせるのだった。
動けないオレに代わりイルカが上になり、オレの腰に跨がろうと脚を広げた。勃起し張り詰めた竿を自分の両手で支え、その先を陰部へ収めようと腰を落とすイルカを止めた。
処女では無いとは云え、乳房への愛撫だけではまだオレを受け入れるには早いだろう。慣らさないと痛いだけだ。
イルカの腰を掴むと、オレはふとももの上に落とした。無理しなくていいんだよと言って、ほぅと 息を吐いたイルカに笑う。
オレの為にと一所懸命なのは嬉しいが、まだ絶頂を知らないイルカにこんな真似はさせられない。いいんです、と艶やかに誘うので尻の間から片手を滑り込ませると、指は膣口を探り当てた。するりと中指が入る。先程の乳房への刺激で潤み出していた。あ、と声を出しイルカは腰を浮かせる。それをもう片方の手で押さえ、もう一度座らせる。膣の中の指はそのままに、今度は前の茂みから指を割れ目に沿って差し入れ、小さな突起を指先でこね回す。
またイルカの腰が浮くが、オレの指が膣の中で角度を変え周りの襞を擦り続けて快感を得たのか、声に為らない吐息を漏らしオレの上に倒れ込んだ。
駄目、と胸の上でとろんとした目で荒い息を吐いて、その汗の匂いに更に疼きオレは膣の襞をゆっくりと擦り。ああ此処、と指が探り当てたのは最初に見付けておいた場所。男なら誰でも喜ぶ、数の子天井と呼ばれるそれをイルカが持っていた事、知っているのはオレだけと云う幸運に感謝せずにはいられない。
少し落ち着くとイルカは起き上がり、勃起したままのオレの陰茎を両手で包み扱き出した。あまりにも真剣で、しかしぎこちない動きに覚えて、と言ってその手を取り扱き方を教える。緩急をつけ先から根元まで、皮を剥き伸ばし。指で輪を作り括れを引っ掛けるように握り込んだりと、自分の膣で包む感じをイメージさせると、頭の良い女だからすぐ理解してくれた。後は経験を積むだけだ、オレの為に。
我慢できずイルカの手を止めさせ、膣を陰茎の上へと導く。ゆっくりと腰を沈めさせ、いきり立つ男根を蜜を滴らせて誘う膣の中へ根元まで入れた。イルカが動くとぐちり、という水音と肉のぶつかり合う音が静かな空間に響いて、オレは歓喜に口元が緩むのを抑えない。
熱が上がる。お互いの吐息だけが部屋に満ち、初めての騎乗位に辛そうなイルカの反らした喉と揺れる乳房の間から落ちる汗が、オレの胸の汗と混じり、二人溶け合う喜びを感じて精液はイルカの中で弾ける。

眠ってしまったかと、気付けば雨は上がり薄い雲は風に流れて、澄んだ空気が部屋に流れ込んでいた。ガウンを羽織っただけのイルカが窓際から離れてオレに近寄り、沸かしておきましたと風呂に誘う。すえた匂いとべたべたの体に苦笑して立ち上がり、一緒にとオレだけのその体を後ろから抱き込んだ。

今日初めてのメシは月を見ながらだった。
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