ん…。と息が上がった。
イルカの額にまとわりつく髪を、カカシは指でそっとのける。壊れ物のような扱い方に焦れてもっと強くと息だけでねだるイルカの首筋に、カカシは赤くしるしを付けた。
それが合図のように二人は激しく求め合った。窓は開いてるし、玄関も鍵は掛けていない。聞かれちゃまずいなんて思わない。むしろこれだけ愛し合ってると教えたい位だ、とカカシはイルカに容赦ない。
自分がたてる卑猥な水音にイルカは羞恥を覚えた。途端にきゅっと体が強張り、カカシが息を詰めて動きを止めた。
煽りますねえ、とカカシはイルカの耳を甘噛みして、もっと深く繋がろうと動いた。
一度カカシが先に果て、次は貴女のためにとイルカに尽くす。武骨な長い指が体を這い、舌は振りかけられた砂糖を味わうように隅々まで舐め尽くした。
繰り返す突き上げに見たイルカの痴態に、カカシは益々興奮する。誰も知らない顔を暴く楽しみが、自分だけに与えられたのだから。
本当に閉じ込めたいよねぇ、と失神に近い形で眠りについたイルカの横で、カカシは綱手に報告する言葉を探していた。
ふと枕元の髪紐を見て思い出す。お守りにするためにこよりを通して持つといい。
摘まんでみると紐から抜けた。トンボ玉のこよりを開いたら、丁寧に書かれたひと言。

はたけカカシ命

やられたよ、とカカシは目の奥が熱くなって痺れるのを感じた。

イルカは妊娠で腹が膨らむと、脊髄の神経が圧迫されて初期の段階から辛い。事務仕事がやっととなり、それもままならなくなってカカシの目論見通りに閉じ込められる事になった。体は重く突き出した腹では足元も見えず、カカシなしでは外にも出られない。

暁は仲間割れで木ノ葉の里を襲うどころではない、と情報が入り今の内に一人ずつ潰す計画を立てる事になった。
それを聞いて、陣痛が起こるまでシカクさんと戦略を練りたい、とイルカはカカシを困らせたが、綱手が子どもを取り上げる約束で承知された。博打に出掛けられず執務室に閉じ込められた綱手も、たまに癇癪は起こすものの早産が懸念されるし、名付け親を任されては居住まいを正さなければと殊勝な事を言っている。
イルカの体の神経が出産により更に動かなくなる可能性はある。けれどイルカはカカシのために、医療忍術の修業を本格的に開始し、いつかの約束の時に備えるつもりだ。

終末は二人で迎えたいから。
できれば年老いて。
スポンサードリンク


この広告は一定期間更新がない場合に表示されます。
コンテンツの更新が行われると非表示に戻ります。
また、プレミアムユーザーになると常に非表示になります。