「許してください、罰は受けます、言う事聞きますからぁ。」
よーし言ったね、とカカシは腕を緩めたがイルカはカカシの囲った中から立つことなく、昨日はありがとうございました、何から何までご迷惑をお掛けして、と本当にすまなそうに感謝と謝罪の言葉を口にした。
「あのさ、俺はね、なぁんもかんも背負っちゃうあんたが放っとけないの。」
それは貴方も同じだと思いますよ、と小首を傾げるうなじを見詰めながらカカシは首を横に振る。
「さっきのさ、アカデミーで教えてるの?」
と聞けばたじろいだように見えた。カカシはこれだけ材料が揃えば推理は確信に変わると、腕に力を籠めイルカを逃がさない。
やっぱりねー、と一人で納得して笑う。
あれはガイの技のアレンジだ。ガイがイルカと組んでA級高難度の任務に暫く出ていた、と紅から聞いている。
アカデミーの教師は中忍だが、得意分野は上忍を凌ぐ実力で、隊を組めば暗部すら負けると噂がある。
怪我や病気で上忍を退き中忍として中途採用された、担任を持たない科目講師も稀にいるのは、公然の秘密だ。
「イルカ先生参謀だもんねー、隠すの得意だし。」
ただの内緒話じゃないと、二人の様子に知らぬふりはありがたい。聞いていても決して漏らさないから、小声になる必要もない。
「背中の怪我で上忍諦めたんだ。」
イルカは頷いてしっかり答える。
ナルトを庇って傷めた体ではガイの推挙で確定していた上忍は無理だ、と辞退した。役目は終わり自分が寂しくなるからと、ナルトが卒業できればすぐにでも外に出るつもりだった、のだけれど。
求められているのは戦える忍びだ。戦闘中に動けなくなっても、助けてやる事ができないかもしれない。それでも、と言い寄り自決は許さないと三代目に泣かれた。年寄りより先に逝くのはどうか、と情に訴えた作戦勝ちだ。そしてイルカはアカデミーに残った。
綱手は戦わずに済む諜報に任命したが、隊には暗部上がりが必ず組み込まれている。里を守るイルカを、守るために。
「あんたを失いたくないのは俺も同じだから。」
イルカ以外がえ、とカカシの言葉に反応した。
いやいや、それって告白じゃないのか。
「皆さんが仰ってくださいますが、アタシには過ぎるお言葉で…。」
確かに実務に限っての切羽詰まった場合に、お前でなきゃとイルカはよく言われてるが。
上忍達は近くの者と目を合わせて、イルカの鈍さに肩を落とした。
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