「はたけ上忍、どうかしましたか。」
知った声が近付いてくるけど、アタシを抱き込む人はそのままの姿勢で顔をそちらに向けた。
嘘、カカシ先生なの。アタシは手足は冷たいままのに顔だけが熱くなる。
「イルカ先生、電池切れみたい。」
頭上でぼそぼそ何言ってんの、と聞きたかったけどアタシはもう口も開けられない程ホント電池切れ状態だった。
「この人チャクラ珠なんてよく作るの?」
カカシ先生が話をしながら姿勢を変え、アタシを抱え上げた。今日二度目だよ、と笑うので相手はすみません、捨てといていいんですがと酷いことを言った。あー判った、こいつイチョウだ、はいおごり決定。
「ええ、しょっちゅうやってます。勝手にポケットに入れといたりして、でも戦闘時にどれだけ助かったか。感謝してますよ。」
…今度アタシがおごるわごめん。
いや昼間さ、一体何人に作ったか判らないけど、多分自分の帰還分まで俺にくれちゃったみたいね。お陰で助かったけど、仮にも忍びならもうちょっと考えようって言っといてよ。
カカシ先生の言葉に、アタシは心が折れる寸前だった。自分の身が守れないとは迷惑だ、忍びをやめろと部隊長に怒鳴られて気をつけてたんだけど、カカシ先生には絶対無事に帰還して欲しかったからつい。
「やっぱりナルトの先生だよなあって思いませんか。」
イチョウ、やっぱおごるの止め。
くくっ、とアタシを抱えたカカシ先生が全身で笑った。そっくり。行動してから後悔して、で慌てて言い訳して。
どんな事でも一所懸命で。
そうそう、俺の忍犬より犬みたい。
二人の会話が羞恥プレイだ。アタシ逃げ出したい。
で、と二人はアタシをどうするか話し始めた。目が覚めればある程度充電できてるような奴だから転がしておいてくれとイチョウに言われ、カカシ先生は困惑したようだ。
指示があるまで待機なので一緒にいますよ、とさらりと言われ、アタシは動けるようになった時の言い訳を考えているうちに眠ってしまった。
目覚めると明け方で、何故かアタシは廊下でカカシ先生に抱き込まれ二人で毛布にくるまっていた。毛穴からぶわっと汗が吹き出すような、また羞恥プレイだ。額宛ても口布もない顔が目の前に。
おはようと笑う。少しは眠れましたね、と優しさが女心をころころと転がして、アタシは沈没寸前だ。
忍びの意地で平常心を装い礼と詫びを捲し立て、アタシは上司を探しに毛布から抜け出した。
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