「たかがカカシごときに悩むな、お前の時間が無駄になる。」
「いやそれはないだろ、ヒグマ。」
「そうだイルカ、笑顔のないイルカなど誰も欲していないぞ。キラーン。」
「何で暑苦しい笑顔なぞ見なきゃならない、ガイ。しかもキラーンって何。」
いい感じに漫才が始まって、その隙にイルカ先生は受付に逃げてしまった。俺はもう少し話したかったのに、と廊下を走る足音を耳が追ってしまう。あれ。
思わずその方向に顔が向き、イルカ先生と親しいらしい紅に小声で気が付いたの、と言われた。
イルカが外の任務に出られない理由なの。
だって今までそんなの、と俺は言葉が詰まった。聞いてないし。と言おうとして、忍びが自分の弱点を言う筈がないと思い直した。
以前ナルトを庇って背中をやられた時に、脊髄の神経の一部を傷付けたせいらしい。疲労で半身が痺れ動かなくなる事があるので治療は続けているが、完治はないと断言された、と紅はイルカから笑って告げられたのだと。
大した事じゃないですよぉ、と彼女なら言いそうだ。実際五体満足でいられればもうけもんの世界だし。
俺は折に触れイルカ先生を観察する事にした。
確かに夕方の受付で筆が持てず腕をさする姿や、帰り道に片足を棒のように引き摺って歩く姿や、他にも色々見かけてしまったが、イルカ先生はその度に授業中にミスをしたとか酔って転んだとか自然な誤魔化し方をしていた。
強いよなぁ、と感心した俺なんだが、何で他の奴等の事は解らなかったんだろうか。というより、何でイルカ先生の事だけ解ったんだろうか。
ベッドの中で考えていたら外が白々してきたからとりあえず寝よう、今日はちょっと単独だし。
で、寝つきも目覚めも良くなかった俺はそんな日に限って相手が割と手強かったりして。久々に写輪眼を使いすぎてチャクラが帰還分しか残ってなくて、受付で報告した途端にへたりこんだ訳だ。火影様の横のイルカ先生の笑顔に何となく安心したってどうしてだろう。
キリキリと頭が痛んで力が抜けていく。やばい、木の床は硬くて寝心地悪いからせめて病院のベッドに寝るまでは。
…。あーこの匂い、病院だなあ。うん花の甘い香り、もう何日かたってまたサクラが見舞いに持ってきてくれたのかな。全くチャクラ切れで眠りこけるなんて、いつもながら俺、情けないよなあ。
「なあに独り言言ってるんですか。目が覚めたんならいいんですけど。」
え、誰。
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