すみません、あんまり気持ちいい話じゃなくて。
いえそんなこと、と俺とイルカ先生は頭を下げあってそのまま無言になった。
言っちゃったなー、何でかなー、調子狂うなー。この人実はイビキの所で尋問やってたなんて事はないだろうね、この俺がこれだけ話しちゃうなんてあり得ない。でも火影の元で色々やってるみたいだし、特殊任務に向いてそうな気もしてきたし。
つらつらとそんな想像してたら、いつの間にか美味しそうな匂いが漂っていた。あ、俺の好きな感じ。
「あのですね、イルカ先生があいつらに会うのは禁止ですが、俺がこれを届けるのは構わないかなぁって、」
「いいんですか。」
いやいや、待ってください。思ったんだけど、美味しそうなんで俺が全部貰いたいんですけど。
とは言えず、俺ははいと頷いてしまった。やっぱりこの人特別上忍じゃないの。
じゃあ早速、とナルト用サスケ用と包みだす。あ、俺の分は。
「そんな顔しなくても、カカシ先生のは残り全部ですから大丈夫。」
口布してても表情丸わかりです。
わざわざ腰に手を当てて言わなくともよいのでは。
アタシは三代目の側で忍びを見続けていますからね、とちょっと自慢そうな顔をする。
うわーやな感じ、って眉をひそめる俺はまた読まれてるんだろうな。
「ごめんなさい、アタシの特技なんです。」
火影の側で他里の忍びやお偉方の嘘を見抜くために、心理学を独学で研究したのだという。ただ相手を見ているだけなら怪しまれる事は全くないから、いいんじゃないかね。
それより早く持って行けとばかりに包みの山を俺の前に滑らせて、イルカ先生は満面の笑みでお願いします、と膝に頭がつく最敬礼をした。
ちらりと横目で見た壁の時計も、もうすぐ夕飯時だと俺をせかす。
あーはいはい、では俺の分はお駄賃って事で頂きますね。
急いでイルカ先生のアパートから離れて、漸くひと息つけた。
俺、表情がないとか何考えているのか判らないとよく言われるんだが、今度からイルカ先生には細心の注意を払わなくちゃなあ。
あ、とまだ温かい腕の中の包みに気が付いて俺は一番近いナルトのアパートに向かった。案の定ナルトはインスタントラーメンを作ろうとお湯を沸かしている最中だった。
「えええぇ、本当にいいのかってばよ。」
ナルトは包みをほどかず抱き締めて頬擦りし、ゆっくり匂いを嗅いだ。
「ああイルカ先生、大好きだってばよー。」
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