これ、ください。
と買って気がつく。アタシ、食材を買いすぎてる。
ナルトとサスケを週末に呼んでご飯を食べさせる習慣がついちゃったからねぇ。魚と肉、冷蔵庫で何日もつかな。てか、遅くなったら何も食べないで寝ちゃうから、また食材がまんま残るんだろうな。冷蔵庫は古いから凍らないし冷蔵すら怪しいし。
腐らせない為には、と呟いて顔を上げたらおっ、ちょうどいいカカシ先生。
「カカシ先生、暇ならうちでご飯食べてって。」
「あ、は、え?」
鳩が豆鉄砲くらった顔だ。思わず笑ってしまったが、急いで訂正。
「違うんです、いや違わないけど。聞いて。」
こういった訳で、と説明すると見えてる右目がどう返事すればいいかとさ迷っている。
あ、無理ならいいんです。帰るまでに他の奴に会ったらそいつを誘うし、誰にも会わなかったら腐るだけで。
アタシの話を聞きながら、マスクの下のカカシ先生の顔が複雑に変化していくのが解る。百面相みたいって言ったら、怒られるかな。
「イルカ先生…。」
カカシ先生がアタシの買い物袋を奪ってさっさと歩き出した。いや、それ、アタシの。分けてあげたいけどお金払ってるんで勿体無いから返して。あれ、食べさせるんなら同じか。とにかく先生、待って。
あのね、イルカ先生。といきなり立ち止まったカカシ先生の背中に、定番ギャグのようにアタシはぶつかった。
貴女は、知り合いなら若い男でも誰でも簡単に家に上げるんですか。
やだ、何で突然不機嫌になってるんですか。と、笑おうと思ったがカカシ先生からぴりっと痛いチャクラが出ていて、怖くてアタシ笑えない。
皆昔からの仲間だし、とぼそりと言えばカカシ先生は何だかがっくりと肩を落とした。
「行きますから。」
と言われて何処に、と返しそうになった。あ、うちか。先生、うちは逆方向ですよ。
歩き出したカカシ先生の腕に自分の腕を絡めてこっちだと引っ張ると、何故かよたよたと方向転換して先生はアタシの隣に来た。
そのままうちへと引っ張って歩こうとしたら、カカシ先生が人が見てるから、とアタシの腕をそっと外そうとした。
「すみません、つい子どもが違う方へ行かないようにと、癖で。」
全く根っからの教師なんだから、とカカシ先生の堪えた笑いは止まらない。何となく恥ずかしくて、アタシは急ぎ足にうちへと歩き出した。でも今日のメニューは久々に大人向けにできて嬉しい、とにんまりしてしまう。
スポンサードリンク


この広告は一定期間更新がない場合に表示されます。
コンテンツの更新が行われると非表示に戻ります。
また、プレミアムユーザーになると常に非表示になります。