けっ。
「おいおいサスケ君、いくらナルトとほぼ同着だったからって、それはないんじゃない。」
嫌そうに顔をそむけるサスケは、やっぱり猿山の大将だ。頭も力もあるんだが、復讐という思いだけでは強くなるのは限界があるだろうなあ。
ナルトは不思議な奴だ。こいつは負けても負けても挫けない。敵わないと頭で理解していても挑む、その強い精神は称賛に値しよう。
伸びるのはどちらだか。
「じゃあまた、それを背負ったまま降りてみようかぁ。」
俺の言葉にサクラは目を丸くした。いやいや今は修業中でしょ、と笑えばサスケは黙って崖の下を見た。
「自由に降りていいからね。」
言った途端にサスケは飛び降りていた。脚に衝撃もなく地面に埃も立てず、仁王立ちのまま俺を睨んで、これでいいかと問う。
お昼休憩いいよー、と言うとナルトが焦って飛び降りようとしたが、こいつには無理だから首根っこを掴んで止める。
「ナルトは無理。」
何でだよっ、サスケにできてオレにできないわけはないってばよっ、と叫ばれてもなあ。無理なんだものねえ。
サクラがナルトの腕を掴んで一緒に降りてくれる。地道に段階を踏むのがレベルアップに繋がるんだと、苛々した顔のお説教はちと怖いが正しい。
俺はそんな時期が記憶にない。こいつらの年には既に上忍だったから、数年前に上忍師になった時何故こんな簡単な事ができないのか理解できなかった。
先日たまたまイルカ先生に会って、愚痴をこぼしたら笑われた。
「貴方が特別なんですよ。」
そうして廊下での立ち話が、過去の生徒達の資料があるからと夜を明かす勢いで資料室に連れ込まれ、普通の子どもの成長について語られて、俺は納得したのだ。
しかしなぁ、あの人は俺を…というか世間の男を狼だとは小指の先程も思っていないのは、うーん、何だか…。俺と二人きりで顔を寄せあっても、目を見詰め合っても平気で、汗臭くてすみません、で終わるんだから。
まあサクラが、ナルトと同じくらい鈍すぎて困ると言うからねー。あの空気の全く読めないナルトと同じだよ。
「先生、二人がまた喧嘩になりそうです。」
ちょっとぼうっとしてたらまただ。一々止めにはいるサクラが可哀想だな。午後は全員引き離して各自に術を教えるか。
漸くふた月。中忍試験を視野に入れてもいいだろう。落ちて元々、受かれば成長して認められた証拠だ。
な、サスケ、ナルト、サクラ。
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