昨日はすみませんでしたね、と俺は何故かイルカ先生には素直に謝ることができた。自他共に認める、人嫌いであまのじゃくな俺がわざわざアカデミー迄出向いてだ。
「黙って行ってしまったのは悪かったと俺も反省してます。でもね、逃げ出したくもなるじゃないですか、ホント子どもがあんなに大変だとはねぇ。」
という言い訳に、イルカ先生は目を見開いて暫し固まった。間をおいてあ、はい、と頭を縦に振ってイルカ先生は笑顔を俺に向けた。
「カカシ先生でも苦手な事って…あるんですね。」
俺はあははは、と軽く笑って否定はしないでおいた。
「確かに子どもの世話や教育は難しいですけど、やりがいがあってアタシは好きです。」
と満開の笑顔のイルカ先生にうんうん、俺も戦うほうが向いてるしね、とつい笑顔になってしまった。まずいな、何か調子が狂う。
しかし昨日ひと息ついて子ども達もまたやる気を出しているし、よく解らないけどこの人は何だか凄いよな。
「じゃあ行きます。もう昼休憩も終りですし、あいつらがさぼらないように見張ってなきゃ。」
これ以上調子を崩しては堪らないと話を終わらせて去ろうとする俺の後ろから、イルカ先生の温かい声が聞こえた。
「大変な任務だったようですが、お怪我もなく帰還されて何よりです。お疲れ様でした。」
ちょっと嬉しかったがそれ以上に恥ずかしくて振り向けず、俺は無理矢理真顔を作りゆっくり歩いてその場を去った。何だよ、随分と饒舌だったじゃないか俺。
肩で息をして気持ちを落ち着けると、下忍指導について火影様から教えてもらった注意事項、というかマニュアルを思い出して復習する。あー、イルカ先生から貰った資料読んどきゃよかった。あの人ならすぐ使える事書いてあるんだろうなぁ。
こそばゆいような変な感じ、と思いながら面倒な三人の元へ。木陰からこっそり見てみればいつも通りの喧嘩をしてる。俺がいてもいなくてもまるきり態度は変わらない、ってどうなんだろう。と、いきなり水遁の術を仕掛けてみれば、俺に対して罵詈雑言の嵐だ。口をきけない程に動かしてやろうじゃないか。
そうして夕方、簡単な畑仕事の筈が土まみれになって終わった。こいつら要領悪すぎ。で、仕方なく術を使ってチームプレーで早く終わらせるコツを教えてやったのだが、やっぱりナルトが問題だった。言い方は悪いが、いかに上手く操れるかが俺の課題かもしれん。
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