「お帰りなさーい。」
「ただいまー。」
「お帰りだってばよ。」
「おう、ただいま。」
「疲れただろう。」
「ありがとう、大丈夫だよ。」
あたし達は玄関の鍵が開くのと同時に、揃ってイルカ先生の迎えに出た。
イルカ先生のアパートは玄関も狭くて、子どもといえど三人が並んで迎えるには無理がある。けれどあたし達は一番に出迎えたいと互いを押し退ける。それに苦笑しながら相変わらず一人一人に返事をする、イルカ先生の細かな優しさは変わらない。
あたし達は先生の指示通りに買った食材の下ごしらえをして、鍋や茶碗もちゃぶ台に揃えて、暇潰しにゲームをしていた。ゲームといっても指で組んだ印で術を当てるという実用的なものだ。
卒業間際に、イルカ先生が術の種類だけでも判れば目の前の敵にすぐ対処できるからと、知る限りを教えてくれた。おかげであたし達は最初の二つあたりで火か水か、などある程度判断がつくようになった。
あたしに限って言えば的中率は九割を越える。この年では自慢できるだろうと、イルカ先生の方が自慢気な程だ。
だけどカカシ先生は、その先の術そのものが判んないと簡単に殺られちゃうからね、と笑ってたんだよね。知ってる。
知ってるからこそあたしは、力試しにカカシ先生に挑んだサスケ君に加勢する許しをもらった。
カカシ先生が躊躇うことなくサスケ君に火を吹いたのを見て、怪我だけで済めばいい方だとあたしは本気で先生の指の動きを読んで、サスケ君に叫び続けた。カカシ先生は火、水、風、雷、土、とどれだけ使えるんだろうと思える程の術を操る。コピー忍者の名は伊達ではないと、あたしの全身から汗が滴る。
次から次へと繰り出される術の一歩先、それを読むのは至難のわざだったけど、途中から先生があたし達にはちょっとだけレベルの高い術を仕掛けてきてくれるのが判って、やっぱり上忍師は違うんだなあ、と感心していた。
実戦でこんなもんなら確実に死体だ、とカカシ先生は笑う。あたし達は悔しくて、でも返す言葉がない。
てか、初日からそれ、ハードすぎない?
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