「ええっと、それは駄目だな。」
職員室の前で散々待った挙げ句に、すぐ次の授業だから話す時間は五分しかないとイルカ先生に言われ、あたしが要点を三十秒に纏めて話してみたが、間髪入れず却下された。
いくらカカシ先生が指示もせず消えてしまったとはいえ、遊んではいられないだろう、という理由だった。中忍昇格試験の受験のためには、任務だけでなく修業も対象ポイントになるのだから。
三人で教わった事の復習をして、会得した術をカカシ先生に見せなければならない。カカシ先生はそれを採点し、受験資格判断の材料として加算する。
当然だろウスラトンカチ、とサスケ君はナルトを笑い、また喧嘩が始まった。
「もうアタシには一切の権限はないんだよ。」
イルカ先生は二人の喧嘩を野放しにしたまま、ちらっとあたしの目を見てすぐ机の上の教科書に目を落とした。あたしなら解るだろう、という訳だ。うん、よく解るんだけど、あたしもこの二人の面倒をみるのは無理なんです、と目で訴えて女二人の間にふんわりと連帯感が生まれた。
イルカ先生が見てやりたくてうずうずしているのはよーく解ってます、と頷く。仕方ないですよね、でもどうしたらいいんでしょう。
「じゃあじっちゃんに聞いてみるってばよ。」
語尾のよ、が聞こえた時にはナルトの姿は消えていた。やっぱりこいつは馬鹿だ。
「アタシは待てないから行くね。」
どうせ火影様も各自で修業しろとか言うから、とイルカ先生が溜め息のように吐き出した言葉に、あたしも頷いた。
「でももし、好きにしていいって言われたら。」
だが意外性ナンバーワンのナルトなら火影様ももしかしたらいいっておっしゃるかも、と言ってはみたけれど。
んなわけないよなあ、とイルカ先生と微笑みあって頑張って何とかしてみます、と時間を割いていただいたお礼をいう前にナルトが戻ってきた。
「いいってさ。」
は?、とイルカ先生とあたしとサスケ君の声が重なった。
嘘、火影様ったら、イルカ先生に丸投げ?
スポンサードリンク


この広告は一定期間更新がない場合に表示されます。
コンテンツの更新が行われると非表示に戻ります。
また、プレミアムユーザーになると常に非表示になります。