一
あたし振られました。続けて二人も。
しかも、その二人は付き合ってるわけです。
何のこっちゃですよね、ごめんなさい。よかったら、愚痴になるかもしれないけど聞いてくださいますか。
何かね、梅雨明けしてから豪雨なんて鬱な気分になるから吐き出したいんです。
あたしはその他大勢の中忍です。あ、でももうすぐ特上になれます。
さあお酒一本付けますから聞いてくださいね。
まずね、よくある話ですが、あたしはたけカカシ上忍に恋しちゃいましてね。ええ戦場でカッコよくて、おまけに優しいし、暫く熱に浮かされていました。
まあ当然小娘のあたしなんか最初から目に入ってなかったんですね、はたけ上忍は。てか、あたしと一緒に纏わりつく他の子達も同じで、話し掛けられても知らん顔はしないけど本気で相手をしていないのが判りました。
今思うとあたし達に見付かりやすいように人目に付く場所ばかり歩いていたし、隠れる素振りもまるでなかったんです。
あたし達位の女の子がどれだけ煩いかご存じですよね。それなのに纏わりつかれても構わないって、はたけ上忍は群れるのが嫌いだと聞いていたので変だとは思いましたが、あたし達は熱に浮かされて追いかけるのに夢中でした。
皆お互いを出し抜こうと一所懸命で、彼の気を引く為に外に出ればお土産を買ってきたり、女の好みを聞いて近付く努力をして服も化粧も頑張ったり。
でも頑張りすぎて解んなくなって挫折して、あたしはアカデミーの元担任を頼りました。男の先生で、うみのイルカ先生っていうんですけど、何で女の先生じゃないのかというと、男心が知りたかったんです。
相手の名前は恥ずかしくて出せなくて、取り敢えず大人の上忍にはどうしたらいいのかって事だけ聞いたんです。でもそれは建て前でした。
あたしね、狡いから、イルカ先生が言った通りにしたのに失敗したじゃないって、想いが届かないのは判ってたから失敗した責任を擦り付けて、イルカ先生に甘えたかったんですよ。
イルカ先生はなあんも疑わず、誠意を見せたら相手もきちんと答えてくれるぞって、笑ってあたしの肩を抱いてくれました。
あたしね、もう十六なんですよ。それなのに昔みたいにふわっと抱いてくれて、背中を軽く叩いて行ってこいって。
えっ、はい十六ですけど…飲んでませんよ。イルカ先生に怒られちゃうもの。
それで先生ね、夏休み直前は例年通りアカデミーで残業してるからって言うんです。振られたら泣きに来いって事よね、本当に優しすぎる人。
どうせ残業だって自分から引き受けちゃうんだろうし。
あたしはそれからすぐ、はたけ上忍に告白しました。貴方が好きなんです、あたしじゃ恋愛の対象になりませんかって。
そしたらね、まあバッサリと、うんごめんねって頷いてまたカッコよく笑うのよぉ。
好きな人がいて、でも片想いだからちょっとでも気にしてくれないかなあって、君達を側に置いてみたんだ。でもね、その人が若い女の子を騙しちゃ駄目ですよって、全部お見通しだから正面から頑張ってみるんだって…眉を下げて苦笑いするんです。
もお大人のくせして可愛くてね、応援の意味も籠めてあたし頭を撫でたくなったんです。けれど手を伸ばしても触らせてくれなくて。
撫でるのはあの人だけに許してるから、って言うのを聞いて何となく解りました。
…ああイルカ先生の事なんだ、って。
イルカ先生はよく生徒の頭を撫でるんです。女の子も、髪が乱れてもいいから先生に撫でてほしかったんですよ。
あたし、この通りプラチナブロンドより更に薄い色じゃないですか。時折懐かしいような遠い目で、ゆっくり撫でられて不思議だったんですけどね。
でもその撫で方に、当時こどものあたしは特別なんじゃないかって勘違いして、そうイルカ先生が初恋でした。ずっと好きでした。
はたけ上忍には憧れと、周りの子達の騒ぎにつられてのぼせていた感じではありましたけど、それでも確かに好き、でした。
あたし振られました。続けて二人も。
しかも、その二人は付き合ってるわけです。
何のこっちゃですよね、ごめんなさい。よかったら、愚痴になるかもしれないけど聞いてくださいますか。
何かね、梅雨明けしてから豪雨なんて鬱な気分になるから吐き出したいんです。
あたしはその他大勢の中忍です。あ、でももうすぐ特上になれます。
さあお酒一本付けますから聞いてくださいね。
まずね、よくある話ですが、あたしはたけカカシ上忍に恋しちゃいましてね。ええ戦場でカッコよくて、おまけに優しいし、暫く熱に浮かされていました。
まあ当然小娘のあたしなんか最初から目に入ってなかったんですね、はたけ上忍は。てか、あたしと一緒に纏わりつく他の子達も同じで、話し掛けられても知らん顔はしないけど本気で相手をしていないのが判りました。
今思うとあたし達に見付かりやすいように人目に付く場所ばかり歩いていたし、隠れる素振りもまるでなかったんです。
あたし達位の女の子がどれだけ煩いかご存じですよね。それなのに纏わりつかれても構わないって、はたけ上忍は群れるのが嫌いだと聞いていたので変だとは思いましたが、あたし達は熱に浮かされて追いかけるのに夢中でした。
皆お互いを出し抜こうと一所懸命で、彼の気を引く為に外に出ればお土産を買ってきたり、女の好みを聞いて近付く努力をして服も化粧も頑張ったり。
でも頑張りすぎて解んなくなって挫折して、あたしはアカデミーの元担任を頼りました。男の先生で、うみのイルカ先生っていうんですけど、何で女の先生じゃないのかというと、男心が知りたかったんです。
相手の名前は恥ずかしくて出せなくて、取り敢えず大人の上忍にはどうしたらいいのかって事だけ聞いたんです。でもそれは建て前でした。
あたしね、狡いから、イルカ先生が言った通りにしたのに失敗したじゃないって、想いが届かないのは判ってたから失敗した責任を擦り付けて、イルカ先生に甘えたかったんですよ。
イルカ先生はなあんも疑わず、誠意を見せたら相手もきちんと答えてくれるぞって、笑ってあたしの肩を抱いてくれました。
あたしね、もう十六なんですよ。それなのに昔みたいにふわっと抱いてくれて、背中を軽く叩いて行ってこいって。
えっ、はい十六ですけど…飲んでませんよ。イルカ先生に怒られちゃうもの。
それで先生ね、夏休み直前は例年通りアカデミーで残業してるからって言うんです。振られたら泣きに来いって事よね、本当に優しすぎる人。
どうせ残業だって自分から引き受けちゃうんだろうし。
あたしはそれからすぐ、はたけ上忍に告白しました。貴方が好きなんです、あたしじゃ恋愛の対象になりませんかって。
そしたらね、まあバッサリと、うんごめんねって頷いてまたカッコよく笑うのよぉ。
好きな人がいて、でも片想いだからちょっとでも気にしてくれないかなあって、君達を側に置いてみたんだ。でもね、その人が若い女の子を騙しちゃ駄目ですよって、全部お見通しだから正面から頑張ってみるんだって…眉を下げて苦笑いするんです。
もお大人のくせして可愛くてね、応援の意味も籠めてあたし頭を撫でたくなったんです。けれど手を伸ばしても触らせてくれなくて。
撫でるのはあの人だけに許してるから、って言うのを聞いて何となく解りました。
…ああイルカ先生の事なんだ、って。
イルカ先生はよく生徒の頭を撫でるんです。女の子も、髪が乱れてもいいから先生に撫でてほしかったんですよ。
あたし、この通りプラチナブロンドより更に薄い色じゃないですか。時折懐かしいような遠い目で、ゆっくり撫でられて不思議だったんですけどね。
でもその撫で方に、当時こどものあたしは特別なんじゃないかって勘違いして、そうイルカ先生が初恋でした。ずっと好きでした。
はたけ上忍には憧れと、周りの子達の騒ぎにつられてのぼせていた感じではありましたけど、それでも確かに好き、でした。
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