「先生、お誕生日おめでとう。」
「おー、ありがとう。」
生徒達のお祝いの言葉はそれだけで嬉しく、心が温まる。

でもなあ、あのボケ上忍のこんなお祝いは全然全く少しもいらない。
「せんせぇ、あいされちゃってんだね。」
…なんて年端もいかない子に言われて、いたたまれない気持ちになるこっちの身になってほしい。
「いやー今年も素晴らしいですねえ。さすが上忍の方のやる事は違いますね。」
主任、大間違いだと思います。
「でイルカ先生、今年も明日の朝までに元通りに直しておいてくださいね。」
主任、やった本人に言ってくださいよ。あたしは中忍で、あんなの朝までに直しきれないですってば。

「おーいイルカ、今年も居酒屋貸し切りで手を打つぞ。」
なんて優しい同僚達だろう、あたしの給料半月分で済むなら頼んじゃうよ。

さて、お誕生日おめでとうと書かれたアカデミーの屋根の横断幕とか色んな飾り付けとか、今年は術まで使いやがって校舎の壁にハート形に咲かせた花とか。花は処分するには勿体ないよなあ。って、それが作戦じゃねーか。
あーもうどうしろって言うんだよ。

「だからね、意地張ってないであんたがうんと言えば、もうこんな苦労はしないんじゃないの。」
意地も張りたいですよ、先輩。あたしの男らしい性格が好きだとか、全身スレンダーでいいとか、可愛気ない顔がツンデレでいいとか、…絶対デレませんけど、一々ふざけてませんか。
今夜ご飯を食べに来たらお説教しなきゃ。

「イルカ、それ、付き合ってるって言わないか。」
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