17 満月 月齢十五(後)
快感に朦朧としているイルカに、今からこれを入れるよと囁き、取り出したオレの竿を見せてやった。赤黒く張り詰めて血管を浮き上がらせるそれは、真上を向いてオレの腹に届いている。
イルカの息を呑む様子にくすりと笑い、もっと気持ち良くさせてあげるからと口付けを落とした。オレは自分で数回竿を扱いて軽く準備すると、濡れて滴るイルカの中へ、ゆっくりと少しずつ出し入れを繰り返しながら奥へ奥へと進めて行く。
オレのモノは、どうも他人よりは大きいらしい。奥まで届いて最高よ、と女達が口を揃えて言うのだからそうなのだろう。だけどこれからはイルカを喜ばす為だけに使うんだよ。
少し痛いかもしれないけど、と言うとこうしていられるだけで嬉しいから、とイルカは目尻に涙を溜めて笑う。
先程よりは柔軟になったとはいえ中はまだ狭く、きゅうっと締め付けられてオレは興奮が更に高まり直ぐにでもイケそうだが我慢する。限界だ、と思った頃に漸く全てを奥まで収める事が出来た。
処女膜は痛みもあまり無く破れたようだが、やはり出血はしたのか血の臭いがした。血の臭いに条件反射で興奮する。もうだめだ。
オレはイルカにごめんと呟いて激しく動き出した。肉が打ち合い、卑猥な水音がする。亀頭が狭い膣道を押し広げながら襞を擦り上げ、引く時には出すものかと襞が竿をくわえ込んで離そうとしない。最高だ。
二人の汗が混じり、熱を放ち、部屋の中に息苦しい程の濃厚な時が流れる。こんなに交わりがいいものだなんて、今初めて知った。オレ達がこれから高みへ昇る瞬間を思うだけで、体中が震える。
うっ、と息のような声が出てオレの動きは止まった。そして―初めて、女の中に生で出した。
オレは今までに無く満足し、上半身をイルカの上に重ねて倒れ込んだ。無理してごめん、と謝れば気持ち良くなってくれて嬉しいです、と掠れた声で言って微笑んでくれた。
イルカも多少なりとも快感を得られたと知って安心はしたが、次は二人でイキましょうとまたいきり立つオレの息子を宥めつつ外を見れば満月は山に近く、空は東から白んで来ていた。少し眠ろうかと、オレはイルカを裸のまま抱き締め、明るくなる空に背を向け目をつむった。
イルカの寝息が規則正しく聞こえ完全に寝入った事を確かめると、オレはそっと起き上がった。
新月の晩からずっと考えていた事があった。いつか、イルカを手に入れたら実行しようと決意して。
しかし、これが許されるものかと躊躇もして。
オレは自分の命を、イルカに捧げる。
契りの術と云う。
掛けられた者が死ねば、掛けた者も共に死ぬと。
だが覚悟しなければ為らないのは、術者はその術を掛けられた者の死の痛みを背負うと云うことだ。
それがどの程度なのかは、オレは死んだ事が無いから解らない。けれどイルカが苦しまずに死んでくれたなら、オレはそれを黙って背負って、笑って後を追える。
そうだ、オレはイルカ無しに生きていようとはもう思わない。
この胸を切り開かれて、生きたまま心臓を鷲掴みにされる方がまだマシかもしれない。ああそうだ、術の痛みってそんなモンかもしれないなと、オレは眠気が襲いつつある脳みそで考える。
いつ死んでもいいと思っていたオレに生きる意味を与えてくれた唯一の存在だけど、そのイルカが居ないなら生きてる意味なんか無いからねぇ。
どうせ死ぬなら。
イルカの痛みも背負って。
イルカの安らかな死に顔を見て。
その一瞬後に。
オレが苦しむところなんかイルカに見せないように、
死にたい。
朝日が昇る前にと深く息をついて、寝返りを打ってオレに背を向けたイルカを見た。
ごめん、とまた言ってオレは裸の背中を上から下にひと撫でした。覚えてはいるが初めて組む印に集中する。
ぼうっと白い光がオレの掌から顕れ、イルカの背中に吸い込まれたかと思うと背中一杯に僅かに黒く浮き上がるのは蝶の形。黒死蝶と呼ばれるそれ、か。
ふと気付けば、オレの胸、心臓の位置に小さく同じ形が浮かんでいる。これが契約なのかと、オレは嬉しさのあまり鳥肌が立つのを感じた。死ぬまで一緒だと、イルカの背中を抱き込み心から安堵して、朝焼けの中オレは眠りについた。
快感に朦朧としているイルカに、今からこれを入れるよと囁き、取り出したオレの竿を見せてやった。赤黒く張り詰めて血管を浮き上がらせるそれは、真上を向いてオレの腹に届いている。
イルカの息を呑む様子にくすりと笑い、もっと気持ち良くさせてあげるからと口付けを落とした。オレは自分で数回竿を扱いて軽く準備すると、濡れて滴るイルカの中へ、ゆっくりと少しずつ出し入れを繰り返しながら奥へ奥へと進めて行く。
オレのモノは、どうも他人よりは大きいらしい。奥まで届いて最高よ、と女達が口を揃えて言うのだからそうなのだろう。だけどこれからはイルカを喜ばす為だけに使うんだよ。
少し痛いかもしれないけど、と言うとこうしていられるだけで嬉しいから、とイルカは目尻に涙を溜めて笑う。
先程よりは柔軟になったとはいえ中はまだ狭く、きゅうっと締め付けられてオレは興奮が更に高まり直ぐにでもイケそうだが我慢する。限界だ、と思った頃に漸く全てを奥まで収める事が出来た。
処女膜は痛みもあまり無く破れたようだが、やはり出血はしたのか血の臭いがした。血の臭いに条件反射で興奮する。もうだめだ。
オレはイルカにごめんと呟いて激しく動き出した。肉が打ち合い、卑猥な水音がする。亀頭が狭い膣道を押し広げながら襞を擦り上げ、引く時には出すものかと襞が竿をくわえ込んで離そうとしない。最高だ。
二人の汗が混じり、熱を放ち、部屋の中に息苦しい程の濃厚な時が流れる。こんなに交わりがいいものだなんて、今初めて知った。オレ達がこれから高みへ昇る瞬間を思うだけで、体中が震える。
うっ、と息のような声が出てオレの動きは止まった。そして―初めて、女の中に生で出した。
オレは今までに無く満足し、上半身をイルカの上に重ねて倒れ込んだ。無理してごめん、と謝れば気持ち良くなってくれて嬉しいです、と掠れた声で言って微笑んでくれた。
イルカも多少なりとも快感を得られたと知って安心はしたが、次は二人でイキましょうとまたいきり立つオレの息子を宥めつつ外を見れば満月は山に近く、空は東から白んで来ていた。少し眠ろうかと、オレはイルカを裸のまま抱き締め、明るくなる空に背を向け目をつむった。
イルカの寝息が規則正しく聞こえ完全に寝入った事を確かめると、オレはそっと起き上がった。
新月の晩からずっと考えていた事があった。いつか、イルカを手に入れたら実行しようと決意して。
しかし、これが許されるものかと躊躇もして。
オレは自分の命を、イルカに捧げる。
契りの術と云う。
掛けられた者が死ねば、掛けた者も共に死ぬと。
だが覚悟しなければ為らないのは、術者はその術を掛けられた者の死の痛みを背負うと云うことだ。
それがどの程度なのかは、オレは死んだ事が無いから解らない。けれどイルカが苦しまずに死んでくれたなら、オレはそれを黙って背負って、笑って後を追える。
そうだ、オレはイルカ無しに生きていようとはもう思わない。
この胸を切り開かれて、生きたまま心臓を鷲掴みにされる方がまだマシかもしれない。ああそうだ、術の痛みってそんなモンかもしれないなと、オレは眠気が襲いつつある脳みそで考える。
いつ死んでもいいと思っていたオレに生きる意味を与えてくれた唯一の存在だけど、そのイルカが居ないなら生きてる意味なんか無いからねぇ。
どうせ死ぬなら。
イルカの痛みも背負って。
イルカの安らかな死に顔を見て。
その一瞬後に。
オレが苦しむところなんかイルカに見せないように、
死にたい。
朝日が昇る前にと深く息をついて、寝返りを打ってオレに背を向けたイルカを見た。
ごめん、とまた言ってオレは裸の背中を上から下にひと撫でした。覚えてはいるが初めて組む印に集中する。
ぼうっと白い光がオレの掌から顕れ、イルカの背中に吸い込まれたかと思うと背中一杯に僅かに黒く浮き上がるのは蝶の形。黒死蝶と呼ばれるそれ、か。
ふと気付けば、オレの胸、心臓の位置に小さく同じ形が浮かんでいる。これが契約なのかと、オレは嬉しさのあまり鳥肌が立つのを感じた。死ぬまで一緒だと、イルカの背中を抱き込み心から安堵して、朝焼けの中オレは眠りについた。
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