四
誰が、とカカシは大声を出しそうになった。裏がありそうですね、とイルカは冷静だ。
「ならば俺はそれも探しましょう。」
カカシは部屋の中の男に向かって送り届けました、と礼をして去る。一瞬にして分身は天井裏に消え、残った本体のカカシは迷った振りをしながら人質とお舘様を狙う者を探した。
成る程、確かに微かに匂う。しかしこれしきの薬が判らないとは、俺もヤキが回ったなあ。
イルカを心配するあまり状況判断を誤ったと悔やみ、私情を切り捨てなければならないと思うが。
「繋がったぞ。」
廊下を歩くカカシの肩に止まった小鳥が話し出した。
「オレ達応援部隊が出る前の最初の依頼人は城の持ち主だ、そうこの里の『長』だとさ。それも今のお館様の、弟だ。木ノ葉の第一隊が戦っているのはこの兄貴が雇った抜け忍達だそうだ。結構手強くて、木ノ葉としては人質までは手が回らないから、応援の第二隊を里に要請したんだ。お館様は第一隊に雇った忍びがやられて劣勢になったので、城の警備の者もあちらに回した。だから今城には雑魚しかいねえんだよ。」
「最初の、弟の依頼は人質を解放するだけで、里は自分達で取り戻すつもりだったのか。」
カカシの呟きに小鳥はそうだ、と返した。
「オレ達はあっちの奴らを叩くだけでいいんだが、敵の殲滅という曖昧な話じゃあ全部やっちまっていいんだよなあ。」
ついでに国の立て直しにも手を貸すぞ、と暗に言っている。
小鳥に意識を乗せている上忍は直ぐにオレ達も向かうと言うが、カカシは自分が人質のこどもを確保するから外で待て、と止める。
「後はお前らが好きにすればいいさ、隊長さん。」
小鳥が飛んで行くのを見ていると、先程の娘が擦り寄って来てカカシの腕を取り、早くと空き部屋へ誘う。
色を籠めた目ではないので訝しんでいると、いきなり頭を下げて礼を言われた。
俺達を木ノ葉の忍びだと知っている、この娘は何者だ…。
「私は長付きの忍びです。見世物小屋の親方があなた方を見付けたのは偶然でしたが、芸を見て忍びだと判って私に連絡して来ました。あれは私の父です。」
偶然も続けば必然だ。娘は人質の子どもの部屋をカカシに教え、私に出来る事はと尋ねる。
「護衛の忍び達に解らないように皆を逃がしてくれ。この城は毒が回っているから、悪いが壊す。」
また後で、と二人は素早く行動に移す。
カカシが天井裏の分身に意識を乗せイルカを見ると、酒を注ぎながら男に体をまさぐられている。
胸元に入った手は乳房を揉み始め、イルカは肌を桃色に染めながら喘ぎ声を出した。お止めください、と言いながら凭れ掛かり太腿を晒し、更に誘うように声を上げる。
我慢出来ずにカカシが座敷に降りようとすると、イルカが天井を見上げた。涙を溜めた目が、そこにいるカカシに早く子どもを助けてと訴えている。
カカシの為に時間稼ぎをしてくれているのだ。この男はイルカを抱いている限りは、他に気を取られる事がない。
「畜生。」
知らず大声を出した。分身から意識を離し、カカシ本体は子どものいる部屋に走った。
結界なぞ俺に効くか、と戸を開け放ち助けに来たぞと叫べば泣き声が聞こえた。しまった、驚かすなとイルカにあれだけ言われたのに。
「俺の大好きなお姉ちゃんも酷い目にあってるから一緒に助けに行こうね。」
大泣きする子どもに膝を着き視線を合わせ、ついぞ出した事のない優しい声に自分で笑ってしまう。
子どもは泣き止み、頷くと立ち上がった。まだ学校に通う程大きくはない。カカシは片腕に収めて、行くぞとまた走り出した。
分身はからはまだ、切羽詰まった様子は伺えない。しかし辿り着いた部屋の中からは男女の喘ぐ声が聞こえ、カカシは頭に血が上り体が熱くなるのを感じた。
襖を蹴り飛ばしイルカの名を呼べば、半裸にされ髪を掴まれ男にのし掛かられた姿が目に飛び込んだ。次の瞬間には、男は壁に激突し気を失っていた。
子どもを下ろし、カカシはイルカを抱き締めた。素肌が熱く顔は上気し、薬が回っていると判る。
きつく抱き締めたまま、カカシはイルカにやり過ぎだと怒鳴った。苦しそうな息の合間にごめんなさい、と泣き声がカカシの耳元で聞こえた。
「全く掛からないのはおかしいから、少しだけと思って。」
分身は襲って来た雑魚の忍びと戦っていたので、本体にイルカの様子は伝えられなかったのた。独自に動けるようにしたのは失敗だったか、とまたカカシは悔やむ。
腕のイルカはいくら任務とはいえ、裸の胸を隠しもせずにいてはカカシには辛い。
「あんな親父に触らせるなんて勿体ない。」
冗談半分にその乳を撫でてみればビンタを喰らった。
誰が、とカカシは大声を出しそうになった。裏がありそうですね、とイルカは冷静だ。
「ならば俺はそれも探しましょう。」
カカシは部屋の中の男に向かって送り届けました、と礼をして去る。一瞬にして分身は天井裏に消え、残った本体のカカシは迷った振りをしながら人質とお舘様を狙う者を探した。
成る程、確かに微かに匂う。しかしこれしきの薬が判らないとは、俺もヤキが回ったなあ。
イルカを心配するあまり状況判断を誤ったと悔やみ、私情を切り捨てなければならないと思うが。
「繋がったぞ。」
廊下を歩くカカシの肩に止まった小鳥が話し出した。
「オレ達応援部隊が出る前の最初の依頼人は城の持ち主だ、そうこの里の『長』だとさ。それも今のお館様の、弟だ。木ノ葉の第一隊が戦っているのはこの兄貴が雇った抜け忍達だそうだ。結構手強くて、木ノ葉としては人質までは手が回らないから、応援の第二隊を里に要請したんだ。お館様は第一隊に雇った忍びがやられて劣勢になったので、城の警備の者もあちらに回した。だから今城には雑魚しかいねえんだよ。」
「最初の、弟の依頼は人質を解放するだけで、里は自分達で取り戻すつもりだったのか。」
カカシの呟きに小鳥はそうだ、と返した。
「オレ達はあっちの奴らを叩くだけでいいんだが、敵の殲滅という曖昧な話じゃあ全部やっちまっていいんだよなあ。」
ついでに国の立て直しにも手を貸すぞ、と暗に言っている。
小鳥に意識を乗せている上忍は直ぐにオレ達も向かうと言うが、カカシは自分が人質のこどもを確保するから外で待て、と止める。
「後はお前らが好きにすればいいさ、隊長さん。」
小鳥が飛んで行くのを見ていると、先程の娘が擦り寄って来てカカシの腕を取り、早くと空き部屋へ誘う。
色を籠めた目ではないので訝しんでいると、いきなり頭を下げて礼を言われた。
俺達を木ノ葉の忍びだと知っている、この娘は何者だ…。
「私は長付きの忍びです。見世物小屋の親方があなた方を見付けたのは偶然でしたが、芸を見て忍びだと判って私に連絡して来ました。あれは私の父です。」
偶然も続けば必然だ。娘は人質の子どもの部屋をカカシに教え、私に出来る事はと尋ねる。
「護衛の忍び達に解らないように皆を逃がしてくれ。この城は毒が回っているから、悪いが壊す。」
また後で、と二人は素早く行動に移す。
カカシが天井裏の分身に意識を乗せイルカを見ると、酒を注ぎながら男に体をまさぐられている。
胸元に入った手は乳房を揉み始め、イルカは肌を桃色に染めながら喘ぎ声を出した。お止めください、と言いながら凭れ掛かり太腿を晒し、更に誘うように声を上げる。
我慢出来ずにカカシが座敷に降りようとすると、イルカが天井を見上げた。涙を溜めた目が、そこにいるカカシに早く子どもを助けてと訴えている。
カカシの為に時間稼ぎをしてくれているのだ。この男はイルカを抱いている限りは、他に気を取られる事がない。
「畜生。」
知らず大声を出した。分身から意識を離し、カカシ本体は子どものいる部屋に走った。
結界なぞ俺に効くか、と戸を開け放ち助けに来たぞと叫べば泣き声が聞こえた。しまった、驚かすなとイルカにあれだけ言われたのに。
「俺の大好きなお姉ちゃんも酷い目にあってるから一緒に助けに行こうね。」
大泣きする子どもに膝を着き視線を合わせ、ついぞ出した事のない優しい声に自分で笑ってしまう。
子どもは泣き止み、頷くと立ち上がった。まだ学校に通う程大きくはない。カカシは片腕に収めて、行くぞとまた走り出した。
分身はからはまだ、切羽詰まった様子は伺えない。しかし辿り着いた部屋の中からは男女の喘ぐ声が聞こえ、カカシは頭に血が上り体が熱くなるのを感じた。
襖を蹴り飛ばしイルカの名を呼べば、半裸にされ髪を掴まれ男にのし掛かられた姿が目に飛び込んだ。次の瞬間には、男は壁に激突し気を失っていた。
子どもを下ろし、カカシはイルカを抱き締めた。素肌が熱く顔は上気し、薬が回っていると判る。
きつく抱き締めたまま、カカシはイルカにやり過ぎだと怒鳴った。苦しそうな息の合間にごめんなさい、と泣き声がカカシの耳元で聞こえた。
「全く掛からないのはおかしいから、少しだけと思って。」
分身は襲って来た雑魚の忍びと戦っていたので、本体にイルカの様子は伝えられなかったのた。独自に動けるようにしたのは失敗だったか、とまたカカシは悔やむ。
腕のイルカはいくら任務とはいえ、裸の胸を隠しもせずにいてはカカシには辛い。
「あんな親父に触らせるなんて勿体ない。」
冗談半分にその乳を撫でてみればビンタを喰らった。
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