「立派になったよね、貴女の教え子は揺るがない。」
とアタシの背中に貼り付いたカカシ先生は、見えなくなったナルトの更に先を、目を細めて見つめた。
今考えていた人が突然現れたから、アタシは何だか恥ずかしくなった。二十年たってもカカシ先生を覚えていたなんて。
ただ何があったのかはまるで記憶になく、輝く白髪と…そう光に当たると芯が透ける、銀色のような珍しい髪の色と口布で顔を隠していた事だけを覚えていた。
ぼんやりしていたアタシにカカシ先生は、上流の滝でまたナルトの修業に入るから、と告げて消えた。
ナルトの強さを信じろとわざわざアタシに教えてくれた。修業を覗いてもいいのだと許可もくれたなんて、細やかな優しい人だと思った。

「あーこの子ね、確かに綺麗。根には勿体ない。」
たまたま紅先生と立ち話をしていた時に新生カカシ班と呼ばれる四人、と恐怖による支配も大好きと脅したらしいお目付けに会った。
サイはアタシを正直にブスとか冴えないとか言ってくれたので、とりあえず初対面の挨拶を、その場で正座させて丁寧に教えてあげた。お世辞とか見栄とか、メモしてくれてはいたけど。次は口頭諮問してみよう。
カカシ先生の暗部の後輩のヤマトさんは、アタシにぬいぐるみをくれた時にはまだあの仲間にいたらしい。お願いだから余計な事は話さないで、と訴えたけどニヤリと笑う顔は既に遅いと言っていた。
紅先生も根とか暗部とか平気なんだ、と思えば確かにアスマ先生と連れ添う位だからね。
アタシはサクラがまた気苦労をしょい込むのかとかわいそうだが、綱手様よりはましかもしれない。
ナルトがアタシを無視するようで、何だかつまらないからカカシ先生と話す後ろ姿に抱き付けば、ナルトはアタシを剥がそうとじたばたする。カカシ先生がアタシを引き寄せ、こっちにしなさいと胸を貸してくれた。うん、こっちがいい、とアタシは自然に頬が緩む。
「あんた達、そういう事?」
紅先生の問い掛けにアタシはどういう事だか解らずカカシ先生を見上げた。顔が赤い。可愛いなあと成人男性に思うアタシ、よく危ないと言われてるが何故なんだろう。
「イルカ先生はナルトの先生だからです。」
サクラが言うそれもしょっちゅう聞くんだけど、誉められてないような気がする。
「ほーんとね、カカシも大変だ。」
紅先生、そりゃ迷惑掛けてますけど、と思う間にカカシ先生は一人で消えちゃった。
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