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再会
搬送は木ノ葉の忍びにより、確実に遂行された。
カカシ達が暫しとどまったこの国がどれだけ狭いのか、商店街の灯りが落ちてから出発したにもかかわらず、風の国との国境を越えたのがまだ翌日になっていなかった事からもうかがえる。深夜と言うにはまだ早い時間であるが、こどもらは昼間の捕物騒ぎで疲れ、出発してまもなくには父と母の腕の中でそれぞれ熟睡していた。
一行が砂の里に着いたのは明け方近く、しかしまだ紫の空には星がはっきり瞬いているような薄ら寒い時刻だったが、鍛えた忍びの目には、彼方の要塞のような崖の上に砂の忍び達が何十人と立ち並ぶのが見えた。
「ほう、風影様自らお出迎えですか。」
列の先頭のアスマが欠伸を噛み殺して、睨むようにその面々を確かめる。徹夜の任務明けで駆け付け、また夜通し歩いたため、短くなった煙草に髭を焼かれて漸く目が覚めたのだった。
ざわつきにこども達も目を覚まし、前方を見詰めた。
「があたんだぁ。」
二人同時に叫び、両親の腕から飛び降りると覚束ない足取りで、手を取り合い走り出す。砂に足を取られ転びながらも一直線に我愛羅に向かえば、我愛羅も砂を操って作った空飛ぶ絨毯で崖から飛び、ぎこちない笑顔を作りながら二人に向かって歩き出した。
「が、我愛羅様っ。」
両脇の側近達も慌てて後を追おうとするが、このまま飛び降りれば確実に命を落とすと判っているため動揺し、たたらを踏むばかりだった。
お疲れ様でした、と我愛羅は膝をついてホナミとミナミを両腕で抱き止めながら、その向こうの木ノ葉の忍び達に頭を下げた。
取り敢えず、と案内された我愛羅の私邸で、一行は仮眠をとり食事をいただいた。
実のところ、と我愛羅はカカシ達の前に座り、伏し目がちに話し出した。
自分はまだ年若く、里の忍び達に信頼されているとは言い難い。だからこの件で私の指導力を試されるでしょう、と表情のない顔で窓の外を見た後、真剣な目を真っ直ぐ皆に向けた。
相談に乗っていただきたい事が、沢山あるのです。と絞り出すような声は、騒ぐこども達の声にかき消されそうな程弱々しかった。あれほど強気だった、以前の我愛羅からは想像もつかない。
「そうね、此処が貴方の腕の見せどころね。でも大丈夫、貴方にはその力があるわ。」
とイルカは、微笑みながら我愛羅の両手を包み込むように握った。
「あんたの思うようにやればいいんだ。勿論俺達は力になるけどな、此処は砂の里で、あんたは里の長の風影だ。」
調子に乗って酒を飲みすぎたアスマが、横になって肘をついた手に頭を乗せたまま我愛羅に向かって人差し指を突き出した。いささか態度が悪いと思ったが、紅は口を挟まずしかしアスマの前の酒を退けて、代わりに水の入ったコップを置いた。
そしてそれが合図のように木ノ葉の忍び達は全員、我愛羅に協力しようと集まって輪を作るように座った。
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