2

2 カカシ
任務で里を出る前に、見合いをした。
俺もそろそろかなと話しをしたのを、いい機会だと連れて行かれたのだ。
俺は貴女と身を固めたいんだと酒の席で言った事は、酔った上での戯言と取られた結果だったらしい。誰でもという訳ではなかったのに。今更だが、軽く考えていた俺が馬鹿だったのだ。
はなから断るつもりだったのだが、見合いの席からそのまま任務に出る事になり、ついでに長引いて帰れずにいたところ、相手が承諾したと連絡が来た。クソッ俺を任務で縛り付けておいて、なし崩しにするつもりだったのか。冗談じゃない。
どんな話しになっているのか、貴女にどう伝わっているのか、貴女はどう思っているのか、いや貴女は、俺をどう思っているのか。
残り一週間はかかる任務を、三日である程度終わらせ、後を任せて里へと走った。

俺の結婚式の日取りが決まっていた。
俺はただひたすら土下座を繰り返した。みっともないなんて思わなかった。貴女の事しか考えられなかったから。
相手の家には罵倒された。里からは反逆かとも罵られた。だが理由は言えなかった、貴女の名前など出そうものなら。全て白紙に戻すのは大変ではあったけれど、俺は漸く自由を取り戻した。
貴女の為に。

それなのに、貴女は何処にも居なかった。

明日、里の外へ発つと聞いた。
教育指導の名目で、隣国の学校へ行くと。

里から貴女が居なくなる。
俺の前から貴女が居なくなる。
もしかしたら帰って来ない。

胸が潰れる思いとは、この事を言うのだろう。
何故?
何故?
何故?

貴女は何処にも居ない。家?そうだ、今夜は最後の里での夜。きっと、一人だ。

俺は走った。ただ貴女の元へ。
ああ、貴女の気配がする。部屋の中に、貴女だけの気配がある。
俺は拳で、ドアを勢い良く叩いた。
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