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カカシも着替えた。薄い灰色のシルクのシャツの下はいつもの口布付きアンダーだが、黒い革のパンツは上質で柔らかく艶を持つ。壁に掛けてある黒いダウンジャケットは、薄いが気密性が高いと有名な一流ブランド。
あー、イルカ先生の趣味だ。一緒にいると晴れ着だらけの中でも目立つだろうな、とサクラは二人を眺めて思った。
「人に見せるのは嫌だけどこっちの方が素敵だから、髪を下ろしてね。」
とカカシがイルカの髪紐をほどいて撫で付けた。見ている方が恥ずかしい艶かしさだ。
起きたのが中途半端な時間で、そのまま朝食は取っていない。腹へった、と言い出したナルトに帰ってきたらおせちとお雑煮ね、とイルカは苦笑する。簡易食を渡して任務と思えとカカシが頭を押さえ付け、その言葉にサスケは自分も欲しいと言えなくなった。けれどナルトは、歩き出してからそれを半分分けてやって、サクラもつい癖で持ってるの、と非常用の板チョコを取り出した。後ろの大人達は、仲がいいねぇと微笑んだ。
目的の神社は忍びで溢れていた。初代と二代目火影を祀り武運長久、試験合格、となれば普段から祈願に訪れる者は多い。
見知った顔ばかりで話は弾み、なかなか本殿に辿り着けない。御神籤も引き、神社の鳥居を出たら昼過ぎになっていた。
暗くなるまでに帰る約束のサクラと一緒に帰ると言うので、夕飯にとイルカは少年達に、ゆうに二日分を持たせて帰した。
こども相手は疲れた、とカカシは横になり、イルカが毛布を掛けてやる。
「イルカさん、今日はありがとう。オレを待って寝てなかったでしょう。」
「だって貴方が心配で。」
気が緩む正月に里が襲われた事もあり、警備は戦慣れした者があたる。カカシが強いのは百も承知だが、もしもと思い始めたら眠れなかった。
こんな可愛い人、放って置けるわけがない。カカシはイルカを引き寄せてそっと口付けた。
柔らかい。もう一度感触を確かめ、行為は次第に激しくなる。もう遠慮はいらないと、口付けたまま自分に掛けられていた毛布を下に敷き、イルカを横たえた。
暖房は全開だから寒くはない筈だが、まだ暗闇とは言い難い時間帯にイルカは恥ずかしいだろうと言えば、全て見て欲しいと熱に浮かされたようなとろける顔。仄かな夕闇に細く白い腕がカカシを手招き、シャツのボタンを外していく。

甘く激しい嵐は朝まで過ぎる事なく。

ちゃぶ台の上には大吉の御神籤が二枚。
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