3


カカシ先生が毎日淋しいって言ってました。とサクラの小さな文字がある。カカシが、書いたものを見直さないと知っていてこっそり付け足したのだ。
お前らも苦労するなあ、と大人達は三人を労い、これやるわとおやつの残りを全て放って、
「もう帰れよ。明日は午後からでいいようにしとくからな。」
と勝手に書類に書き付けた。どうせイルカも遅刻だろうから、とはこどもには言えない内容の想像だったが。
三人が去った後、やっぱり仕事やっといて良かったなあ、と誰かが言った。
このところイルカも我慢してたようだし、切っ欠けがなかっただけなんだろうな。
あの仕事一番娘がさ、我慢の糸をぷつんと自分で切ったんだぞ。あはは。
じゃ採点の続きをやっとくか、とイルカと同様にアカデミーと受付兼任の男が、テスト用紙の束を引き寄せた。
専任の受付員はお疲れ、とそいつに冷たい麦茶を差し出しながら笑う。悪いな、それだけはできないから。
くくっ、と思い出し笑いが聞こえる。
「犬飼ってるんだっけ、イルカ。」
「拾ったって、何処でだよなあ。」
思い返せば、毎日通い詰めのカカシは確かに犬だった。手土産を誉めてほしい、一緒に帰ろうと尻尾を振る、大型犬。
「あんな凄い犬、何処で拾うんだよ。」
麦茶のコップを頬に当て、一人が呟いた。
「家の前で段ボール箱に入ってたとか。」
大笑いに、ベタ過ぎだよありえねーだろとちゃちゃが入る。が、後日イルカが真顔でうなづいて、何で知ってるの、と顔を赤らめたのには皆驚いたのだ。
「あたしも拾ってほしいな。」
受付裏の事務の女の子が何気なく呟くと、拾ってやるから来いよ。と手を広げた、お互い憎からず思う相手にその小犬は拾われた。

イルカはカカシの手を引いたまま、ずんずん歩く。
怒っているようで、話し掛ける事もできずただ後を付いていくしかない。何か言わなきゃ、とカカシは思うが言葉が見付からない。と、イルカが歩を緩めてちらりとカカシを見た。
「帰るんですよ。」
「え、何処へ。」
「うちに決まってるでしょ。」
照れ隠しにイルカはまたさっさと歩き出す。程なくイルカのアパートに着いた。
躊躇う間もなく風呂場に押し込まれ、泥だらけの服を剥ぎ取られていく。流石に下着は脱がせられず、後は自分で脱いで下さい、とイルカは目を逸らした。
お湯を浴槽に溜めながら、独り言のようにカカシに文句を言う。
「言わなきゃ解らないでしょうが。毎日笑ってるから、あたしも淋しいって言えなくなっちゃったし。」
え、え、何が。
「拾って下さいって箱に入ってたのはあんたでしょう。拾った責任ありますからね、面倒見なきゃなりません、あたし。」
あんたは忍犬より手が掛かる、とお湯に手を入れたままイルカはうなだれた。こどもらに指摘されるまで気付かないあたしは飼い主の資格ないかも、とまで思う。
いつか愛想尽かされて、逃げられても仕方ないかも。
「確かに、責任取ってくれない駄目な飼い主だよね。」
ぼそりと溜め息混じりに言われて、イルカはぎゅっと目をつむる。
「オレも、今日は我慢の限界越えそうだったし。」
もう無理だ、別れたいと言われるのかもしれない。
「だから、責任、取って。」
吐息がイルカの耳をくすぐる。後ろから伸ばされた腕がベストのファスナーを下ろし、シャツの裾から入ってくるとイルカの胸を揉み始めた。
「なっ、何を…。」
「こんなにしたのは誰かなあ。責任、取ってくれるんだろ?」
尻に当たる硬いモノが何か判ると、イルカは真っ赤になり逃げ出そうと身をよじった。しかし振り向いた拍子に顎を掴まれ、口を塞がれた。
ぬるりと入り込むカカシの舌が熱い。久し振りの興奮に力が抜け、体が言うことを聞かない。膝が崩れる。
カカシは片手でイルカを支えながら、服を脱がし続けた。勿論口付けは深いまま。
剥いだ服を脱衣所に放りながら、カカシは卑猥な言葉を囁いてイルカを煽る。
「知ってるよ、生理終わったばかりだって。ヒダヒダが柔らかくて気持ちいいんだろうなあ。」
スポンサードリンク


この広告は一定期間更新がない場合に表示されます。
コンテンツの更新が行われると非表示に戻ります。
また、プレミアムユーザーになると常に非表示になります。