5


「与えられるだけだった快楽をあんたに与えたいと思うのは、オレがあんたを愛してる、大事に思う証拠だよ。…真実味がないか。はは、どうしたら信じてもらえるんだ。」
イルカの顔をちらりと見遣ると、あ、あ、と吐息が艶めき高く大きくなって、絶頂が近付いているのが判った。
カカシはイルカの腰を掴むとシーツから浮かせ、狙いをその一点に定めるとひたすら突く。
いやあ、と甲高く叫びイルカの体が痙攣し、膣が締まった。脚を突っ張り震える体はほんのり染まり、目尻から涙が零れる。
イルカは経験した事のない快感に押し流される自分を無理に留めるのをやめた。頭の中は真っ白で、ただ気持ち良い。
その締め上げにカカシはまた吐精する。
「次はもっと気持ち良くしてやるよ。」
まだイルカの痙攣は治まらず、そしてカカシを離さない。
もっとも吐き出して尚大きなソレは、精子が出てしまうのを惜しむかのようにぴたりと膣口に蓋をして、カカシも抜く気はなかったが。
ゆるりと動けば、またイルカの喘ぎの声が叫びと変わる。

もっとイク顔を見せろ、とイルカの耳の中を舐めながらカカシは冷たく言葉を放った。
イルカの痴態がぞくぞくする程嬉しい。だが誰にも見せたくないと沸き上がる思いは嫉妬か。

「あんた、明日も明後日も休みだって言ってたよね。此処から一歩も出しゃしないから、そのつもりでね。」
どうせあんたの服ないから帰れないだろ。とまた攻めながら、自分で切り刻んだイルカの服を眺めて笑った。

乳首を摘み、クリトリスを押し潰しながら突き上げれば、苦しそうに声を搾り出すイルカは二度目の絶頂が限界だったのか意識を失い、しがみ付いていたカカシから腕を離した。
ぱた、とシーツに落ちた音でカカシも動きを止め、大きく息を吐いた。
これだけ夢中になった事などない。たいてい穴を借りて出して終わり、とあっさりしたものだった。
我慢できるように訓練したし、性欲は敵に対する征服や殺戮にすり替えれば治まっていたのだ。
己の律し方が間違っている事には気付かず、歪みはこうしてイルカに向けられた。

お願いだからオレを見て、オレだけを見て。

そしてイルカはカカシの狂気の視線に気付いてしまった。
―ただの欲でもいい、あたしだけを見てくれるなら。だから、早く。

あれだけ見詰め合ってもカカシは気付かないのかと、業をにやしたイルカから誘ってしまえばあっさり乗ってくる。
何を躊躇っていたんだか。まどろみながら、イルカはカカシが何度も言っていた言葉を思い出して微笑んだ。

あんたはオレのもの。

ああいいわね、本当だったら。声に出ていたのだろうか、耳元にカカシの言葉が降ってきた。
「本当さ。まだ信じないのかい。」
お互いの体を隅々まで知った。そして相手のカタチを自分のソコで覚えた。

どれだけの時間が流れたか、イルカの無断欠勤に捜索隊が出たと、飛ばした小鳥から聞いた。
もうふた月近くたっているのだ。

この閉鎖的な空間で、お互いが全てになった。

イルカが妊娠した。
これでいつ捕まってもイルカはカカシのこどもを産んで育てるという義務の元、保護されて生きていくだろう。
カカシも無罪とは言わないが里の宝だ、裏工作をされて日常に、イルカの側に戻るだろう。

「オレの視線に答えたあんたが悪いんだよ。」
とカカシは愛おしそうにイルカに視線を送り、イルカもまた同じ視線を返した。
「あたしは最初から貴方しか見ていなかったわ。」

部屋の外から暗部達の気配がした。もうすぐ結界が破られる。
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