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まあ、結局は場数を踏むしかないって事だな。
と木ノ葉最年長の上忍が、腕を組んで話を締めた。我愛羅の相談は、風影として間違った選択は出来ない、と一人で気負いすぎている所から始まっていた。幼い頃から他人を信じる事が出来なかったから、部下を持った今、どうすればいいのかそれこそ幼子のように迷っているのだろうと皆は思った。
大丈夫、何とかなってくもんだ、と伸びをしながらアスマが真っ先に立ち上がりその場は解散となったが、我愛羅はまだ納得がいかないようだった。
「判らなくて当たり前だよ。」
カカシは騒ぎすぎて息を切らしている子ども達を両腕に抱え込み、自分の膝に座らせた。そして自分が同じように悩み、乗り越えた話を我愛羅に聞かせた。
彼が幼くして中忍となり、親よりも年上の部下を持ってしまった事は我愛羅もよく知っていたから、カカシの言葉は素直に聞けた。
信じる事の大切さ、そこから生まれる絆。
悩め、とひとことだけ言うとカカシは双子を抱えて立ち上がり、ちょうど里の見回りから戻ったテマリとカンクロウに、立ち入ってもいい所だけ案内してくれるよう頼んだ。
「カンクロウもテマリも、貴方が無理してるのが解ってるからねぇ。」
カカシ達の後ろ姿を見送りながら、イルカは目を細めて微笑んだ。
「だからお兄ちゃんやお姉ちゃんは、もっと貴方に頼って欲しいと思ってる筈よ。」
いや、もうこれ以上は迷惑を掛けられない…、と俯く我愛羅の前にコテツとイズモが膝を突き合わせるように座り、
「イルカさんの言う事に間違いはない。」
と声を揃えて言った。
まあまあ、と二人の肩を叩きながら、イルカは言葉が足らなかったと頭を下げて笑う。あの二人はね、自分達は上に立つ器ではないと言ってるの。
え、と顔を上げて目を見開いた我愛羅に頷いて、イルカは先を続けた。
彼らは貴方の参謀に向いてるだろうって、ここにいる木ノ葉の人達も皆そう思ってるわ。
でも、と歯切れの悪い我愛羅にイルカはそれ以上言わせず立ち上がった。
歩き出すイルカに慌ててイズモとコテツが付いて行った。
「我愛羅にうちの子達を預けようかと思うの。」
前を向いたまま、イルカはきっぱり言った。後を歩く二人は聞き間違いかとイルカの両脇に大きく歩を進め、その横顔を見詰めた。
ミナミとホナミから何かを学べる筈よ。私達だってそうでしょ、あの子達は色んな事を教えてくれるわ。
イルカの言いたい事を理解したのだろう、二人は真顔で頷いた。
こどもには大人に見えない事も見え、先入観もなく全てを受け入れ消化する。それは良い事ばかりではないが、反面教師として成長していくのだ。
きっと我愛羅も見つかるだろう、自分の進む道が。
イルカは、カカシが兄姉にも同じ事を話しているだろうと確信して微笑んだ。
さてあの子達の存在がどう作用するか、楽しみだわ。
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