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七月 その四
校庭全てを使うように、店の位置を一つずつ商店街の店主達に説明するのは、教師の役目だ。生徒達は、その模擬店の手伝いがまた授業でもある。
魚屋は鮎の塩焼きを売ったり、八百屋は冷やした果物を切り売りしたり、と普通のお祭りと変わりない。生徒達は、此処で初めて社会勉強をするのだ。
事務方などには、年かさの生徒が希望して補佐の実践に付く。彼らは実に頭が良いと、走り回りながらイルカ達教師は微笑む。

ほんの数時間で準備を終えられた。教師達は門の内側の本部席で脚を投げ出し、もう終わりにしようぜ、とぐったりしていたが。
「さあて、これからが本番です、気を抜かず肩の力を抜いて行きましょう。」
事務長の掛け声に、既に疲れ切って動けない筈なのに、大声で返し皆勢い良く散開する。今日は一般人も忍びも垣根をはらい、こどもらと共に楽しむ日にするのだ。
教師達は生徒一人一人を激励し、店主に礼を言い、さりげなく一般人に気を配り、更に警備の為に見回りをする。
どれだけ仕事すんだよ、とサスケは初めて外から見た実態に唖然とした。
行って、とサクラがカカシの背中を押して、イルカを指さす。片隅の木に背を預けて虚ろな表情で遠くを見る様子は、倒れても仕方ないと思えた。
でも、とカカシが躊躇う内にイルカの瞼が閉じ、その体が崩れ落ちた。地面に顔から、という瞬間にカカシがイルカを抱きかかえ、膝を着く。それを見て三人のこども達は、詰めた息を一斉に吐いた。
代わりに仕事しに行くぞ、とサスケがナルトとサクラの先を、本部席迄歩く。
なあ、イルカ先生の代わりに俺達が出来る事ないか。と、言われ固まった教師達は、慌ててイルカの姿を探し始めた。
「イルカ先生、倒れたんです。」
サクラが困ったように下を向き、小さな声で打ち明けた。だから、せめて何かお手伝いをしたいんです。
やっぱりね。教師達はうなづき合い、じゃあ見回り警備を頼むよ、と腕章を渡しイルカには上がるように言っといてくれ、と言う側から明日は休みだから構わないぞ、と誰がイルカを介抱しているか解っているような口ぶりに、三人は苦笑いをした。
「カカシ先生、お仕事終わりです。私達は特別任務ですけど。」
と腕章を見せて。
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