暇だな、と一人呟いて畳の上で伸びをする。今日は仕事はお休み、ついでに家事もお休み。
…いいじゃん、たまには。
カカシ先生は今日も任務なんだよね。壁の時計を見ながらそろそろ現場入りしたかな、と計算してみたり。
上忍師として下忍と一緒の任務は簡単なものが多いから、殆ど半日の予定で組んで、あとはこども達に修業をつけてくれている。

私の仕事はアカデミー教師だけど人手が足りなくて毎日のように任務受付所に入って、でも勤務時間が被らなくて私が受付を上がる時に先生が来るとか、その反対とかが多い。けど、それでも顔が見られるだけでもいい。だってもうすぐ任務依頼書を取りに来るかな、って時に私が呼ばれて席を立つ事もしょっちゅうで、急いで用を済ませて戻ってみればもうとっくに行っちゃったぁ…とかばっかりだし。
まぁ私は受付で会えても会えなくても、時間が来たので上がりまーすと殊更明るく振る舞ってみたり、私が夕方遅出の時は先生の提出した任務完了報告書を見て、これに触ったんだぁと撫でたりして、今更だけど何か自分がすごく切ないなぁ。

カカシ先生、だけじゃない上忍師のアシスタントがいわゆる私の現場仕事で、定期的に上忍師の先生の元へ伺い、担当下忍達の様子を聞く。修業の成果は上がっているか、術は会得したか、なんてまあ大事な中忍の人材確保の為にね。
もし私で出来るならアドバイスもするんだけど…いや私だって教師だもの、一通りの事は出来るんだから。
ただ、それは私一人じゃなくて教師の殆どがやってる事。ローテーションで二重三重にも確認した方が確実だから、という理由なんだって。そりゃそうなんだけど、カカシ先生に当たる確率の高い人もいるから悔しいんだなぁ。逆に私はアスマ先生によく当たるから同僚にどつかれたりもするし、世の中上手くいかないもんだね。

昨日のカカシ先生は、と思い出すのも日課。
そう昨日は会えた。しかも勤務入りの時間が一緒で、受付で暫くアスマ先生とおしゃべりしてくれたし。私を気にしてるけど何を話したらいいか解らない、って感じに見えたのは気のせいじゃない筈!
だって三日前も時間が被った時、行ってきますって私だけに言ってくれたんだから。私もお早いお帰りを、ってつっかえながらも返して見送ったんだ。
最後に私に手を振ってくれたように見えたのは、あの人マスクしてるから確かじゃないけど私を見てくれたんだと思う。あれには驚いたな。だって…その時、私の他には手を振るような関係の人達はいなかったもんね。多分、だけど。あ、やっぱ自信ないわ、自惚れかなぁ。

あれ、玄関の呼び鈴。はーい、えっカカシ先生?
もう上がられたんですか? 
はい、この間言ってたお店に連れてって下さるんですか、本当に? 
ありがとうございます。待ってて下さい、今戸締まりしてきます。

こんな格好で一緒に歩くの恥ずかしいんですけど、いいんですか。ではご一緒させていただきます。
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