お帰りなさいカカシさん、二週間の任務お疲れ様でした。
ねえ疲れてるところ悪いんだけど、聞いて欲しいの。

ただいま、イルカ先生。いきなり何。

この間ね、過去見を生業にしているお婆さんに会ったの。

それってこの里で?

そう、商店街でね。
私も聞いた事はあったんだけど何処にいるかも解らないっていうから、信じてなかったのね。

都市伝説みたいだね。

うん、会えればラッキーだなんてホントにいるの、って思うじゃない。でね、普通のご近所のお婆さんみたいだから、すれ違う時に目が合って、ああ生徒のおうちの方かなってお辞儀だけはしたのよ。

君は職業柄一方的に知られてる事が多いからね。

もっと有名な貴方のせいでもあるのよ。でそれでね、すれ違いざまに呼び止められて腕を掴まれたの。

は?

私がね、そのお婆さんからよ。こうがっつりと。

うん、それで?

私びっくりして固まっちゃって。忍者のくせして対応できなくて恥ずかしいわよね。

それが君の可愛いところさ。

そんなの良くないって。
でね、お婆さん暫く私の目を見てうんうん頷いて、良かったなって笑うわけよ。何が、って思うじゃない。

そこで怪しまないのが君だな。俺だったら敵が変化してるかもしれないから、羽交い締めにしてる。

そこまで考えがいかないから私、いつまでたっても中忍なのよね。ってともかく聞いてよ。

うん、聞いてるよ。

えと、良かったな、って突然言われたの。
また巡り会えたんだな、お前達。来世も必ず会えるぞ、って目を細めて微笑むのよお婆さんが…。

どうしたの、イルカ先生。泣いてるの?

だって…嬉しかったのよ。
カカシさんと会えた事は運命で、前世でもその前でも必ず会えていたんですって。
親子だったり飼い主と動物だったり、形は違えど生まれ変わる度に深く関わっていたなんて、嬉しくて嬉しくて。
最初は嘘だと思ったけど、この世では夫婦なんだな、漸く前世の契りが交わせたんだなってお婆さん言って。

うん。

証拠はないけど前世の記憶は必ず残っている筈だ、思い出してみろって。

思い出せたの?

貴方に話してなかったけど、小さな頃からずっと同じ夢を見るの。夕焼けの中、川の土手で私が小さな男の子を抱き締めているの。私は今よりもう少し年上で、多分その子のお母さんだと思う。
…男の子の顔は曖昧だけど、カカシさん、貴方じゃないかってずっと思ってた。

それ、俺も同じ夢を見ていたんだ、ずっと。
それに、君に抱き締められるととても安心して泣きたくなるのは何故だろうって、不思議だった…。
そういう事だったんだね。

お婆さんの言う事信じるしかないわね。凄い、奇跡だわ。

うん、俺もそのお婆さんに会ってお礼を言いたい。
いつか、会えるといいな。

ええ、会えるといいわね。
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