11 カカシ
ああなんて幸せなんだ。
イルカとのオツキアイを全世界に公表できるなんて、オレは月にも太陽にも使者を送って知らせたいよ。
火影のじーさまはボケが進んだのか、イルカの公表についての了承確認に適当に頷いて、勝手にやれとオレ達を放免した。イルカは不満げだったけど、オレは何の制限もなくどこでもイチャイチャできるなんて、とパラダイスを想像して手を繋いだまま部屋を出た。
だがじーさまは、既に周囲に対して手は尽くしていたんだ。
オレ達はとある任務で甘々のカップルを装っている…事になっているらしい。
イルカを職員室に送る廊下で、イルカは大変だなあと声を掛けられオレは御苦労様ですと労られ、まだ正式に公表していないのにと首を傾げたんだ。
掛けられた言葉に含まれる意味合いがなんか変だとイルカが気付き、職員室に朝の当番で(一番に来て色んな場所の鍵を開けたりするらしい)来ていた仲間に聞いてみた。
「何かあったのか。オレ聞いてないけど、今もお疲れって声を掛けられてさぁ…。」
一応オレはイルカの後ろに引っ込んで黙ってたよ。ここは公共の場だからね、公表してからイチャイチャしないとイルカの機嫌を損ねちゃうし。
「え、内密の任務なんだろ。ちっ、誰だよ普通にしてろってお達しなのに。」
そいつは言葉を濁しながらちらりとオレを見た。
は? 何だ? 何があるんだ?
イルカとオレは顔を見合わせ、そいつに詳しく聞くことにした。
そしたら、そんな事になっているって…しかも、ゆうべの内に!
なんてこった、じーさまはオレをあくまで認めない気か。
そりゃさ、可愛い孫だか息子だか、いや娘並みに溺愛の箱入りなんだろうが、イルカだって年頃なんだから恋人の一人や二人…。
あう、二人は要らないだろうが、馬鹿かオレは。
落ち着け餅つけ、ぜいぜい。
さて、と。内密の任務か。ふむ。
てぇ事は。
何だ、人前でイチャイチャできるんじゃないか。照れ屋のイルカも任務となればやってくれるだろうし。
取り敢えずイルカとは任務後にまた会えるから、じーさまを問い詰めに行くか。
オレはイルカを抱き締めて(やったね、職員室の中で初めてだよ)、また火影の執務室に向かった。職員室でイルカの叫ぶ声を遠くに聞きながら。そんなに嬉しかったのかねえ。
「改めまして、クソじーさま。」
「何じゃ、もう用を忘れて帰ってきたのか、色ボケ上忍は。」
一触即発の睨み合いだが負けるもんか。
「聞いてなかったんですが、オレ達に任務が与えられたらしいですねえ。」
「おー朝早くて眠かったからなぁ、言い忘れとったわい。はっはっはあ。」
痩せこけた狸が高笑いしてるぜ、ムカついて雷落としそう。
で、と促せば三代目はどこかの密偵が里に入り込んだので、炙り出しにオレ達が盾に使われるのだと話し出した。
どういう事だかさっぱり解らない。オレはそんなに馬鹿じゃないんだけどな、多分。
「お前らが人目も憚らずくっついていれば、敵も写輪眼は腑抜けたと思うじゃろ。簡単に尻尾を出すかもしれん。だがなあ…。」
しんみりとしてキセルを置いたまま、三代目は肩を落とした。
続けてイルカが狙われる事があるかもしれない、と言った。
そうだよなあ、オレの情報をイルカから聞き出すために拉致するかもしれないんだ。
「そうなると、敵が心配でな。」
はあ?
「イルカはあれでも強いし、」
知ってるよ、上忍にならないのが不思議な程いざとなると強い。
「暗部の奴らが怒って、そいつをなぶり殺しにするかもしれん。」
おーい、じーさま遠い目で何を言ってるんだ。
誘導で聞き出せたのは、イルカと暗部の関係だった。…そっか。
考えてみればあの人の教え子もいるだろうし、面倒見がいいから任務関係の依頼は断らないだろうし、暗部だったらあのトラップのワザは欲しいところだろうしねえ。
おい、って事は格好いいイルカをあいつらも知ってるわけだ。誉めると真っ赤に染まる可愛い顔も知ってる…だろうなクソ野郎どもが。
いやいやそれより任務か。
敵がイルカを侮ってくれるならそれはそれで都合がいいのだが、イルカを崇拝する暗部が敵を殺しちゃったら何もならないんだな。
「オレは手を出さない方がいいんですか? でも捕まえていいんなら、」
首を横に振り、三代目は先を言わせずににやりと笑った。ひえぇ。
「暗部だけではない、他にもイルカの為に動く奴らはいるであろう?」
ですね、とオレは沢山の顔を思い浮かべて頷き今日中に捕まるだろうと確信し、執務室を出た。
ああなんて幸せなんだ。
イルカとのオツキアイを全世界に公表できるなんて、オレは月にも太陽にも使者を送って知らせたいよ。
火影のじーさまはボケが進んだのか、イルカの公表についての了承確認に適当に頷いて、勝手にやれとオレ達を放免した。イルカは不満げだったけど、オレは何の制限もなくどこでもイチャイチャできるなんて、とパラダイスを想像して手を繋いだまま部屋を出た。
だがじーさまは、既に周囲に対して手は尽くしていたんだ。
オレ達はとある任務で甘々のカップルを装っている…事になっているらしい。
イルカを職員室に送る廊下で、イルカは大変だなあと声を掛けられオレは御苦労様ですと労られ、まだ正式に公表していないのにと首を傾げたんだ。
掛けられた言葉に含まれる意味合いがなんか変だとイルカが気付き、職員室に朝の当番で(一番に来て色んな場所の鍵を開けたりするらしい)来ていた仲間に聞いてみた。
「何かあったのか。オレ聞いてないけど、今もお疲れって声を掛けられてさぁ…。」
一応オレはイルカの後ろに引っ込んで黙ってたよ。ここは公共の場だからね、公表してからイチャイチャしないとイルカの機嫌を損ねちゃうし。
「え、内密の任務なんだろ。ちっ、誰だよ普通にしてろってお達しなのに。」
そいつは言葉を濁しながらちらりとオレを見た。
は? 何だ? 何があるんだ?
イルカとオレは顔を見合わせ、そいつに詳しく聞くことにした。
そしたら、そんな事になっているって…しかも、ゆうべの内に!
なんてこった、じーさまはオレをあくまで認めない気か。
そりゃさ、可愛い孫だか息子だか、いや娘並みに溺愛の箱入りなんだろうが、イルカだって年頃なんだから恋人の一人や二人…。
あう、二人は要らないだろうが、馬鹿かオレは。
落ち着け餅つけ、ぜいぜい。
さて、と。内密の任務か。ふむ。
てぇ事は。
何だ、人前でイチャイチャできるんじゃないか。照れ屋のイルカも任務となればやってくれるだろうし。
取り敢えずイルカとは任務後にまた会えるから、じーさまを問い詰めに行くか。
オレはイルカを抱き締めて(やったね、職員室の中で初めてだよ)、また火影の執務室に向かった。職員室でイルカの叫ぶ声を遠くに聞きながら。そんなに嬉しかったのかねえ。
「改めまして、クソじーさま。」
「何じゃ、もう用を忘れて帰ってきたのか、色ボケ上忍は。」
一触即発の睨み合いだが負けるもんか。
「聞いてなかったんですが、オレ達に任務が与えられたらしいですねえ。」
「おー朝早くて眠かったからなぁ、言い忘れとったわい。はっはっはあ。」
痩せこけた狸が高笑いしてるぜ、ムカついて雷落としそう。
で、と促せば三代目はどこかの密偵が里に入り込んだので、炙り出しにオレ達が盾に使われるのだと話し出した。
どういう事だかさっぱり解らない。オレはそんなに馬鹿じゃないんだけどな、多分。
「お前らが人目も憚らずくっついていれば、敵も写輪眼は腑抜けたと思うじゃろ。簡単に尻尾を出すかもしれん。だがなあ…。」
しんみりとしてキセルを置いたまま、三代目は肩を落とした。
続けてイルカが狙われる事があるかもしれない、と言った。
そうだよなあ、オレの情報をイルカから聞き出すために拉致するかもしれないんだ。
「そうなると、敵が心配でな。」
はあ?
「イルカはあれでも強いし、」
知ってるよ、上忍にならないのが不思議な程いざとなると強い。
「暗部の奴らが怒って、そいつをなぶり殺しにするかもしれん。」
おーい、じーさま遠い目で何を言ってるんだ。
誘導で聞き出せたのは、イルカと暗部の関係だった。…そっか。
考えてみればあの人の教え子もいるだろうし、面倒見がいいから任務関係の依頼は断らないだろうし、暗部だったらあのトラップのワザは欲しいところだろうしねえ。
おい、って事は格好いいイルカをあいつらも知ってるわけだ。誉めると真っ赤に染まる可愛い顔も知ってる…だろうなクソ野郎どもが。
いやいやそれより任務か。
敵がイルカを侮ってくれるならそれはそれで都合がいいのだが、イルカを崇拝する暗部が敵を殺しちゃったら何もならないんだな。
「オレは手を出さない方がいいんですか? でも捕まえていいんなら、」
首を横に振り、三代目は先を言わせずににやりと笑った。ひえぇ。
「暗部だけではない、他にもイルカの為に動く奴らはいるであろう?」
ですね、とオレは沢山の顔を思い浮かべて頷き今日中に捕まるだろうと確信し、執務室を出た。
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