今日は月曜日、アカデミーの一週間の始まりだ。
忙しくしていられるのは正直助かる。だってカカシさんの事を考えずにすむんだもの。
カカシさんが任務に出たまま連絡もなく……連絡なんかできる環境にない事は承知しているけどな。うわああああなんで俺の机にカレンダーなんて置いてあるんだよ、計算しちゃうじゃないか。
……ちょうど三日経ったぞ、こんなに長期間会わないとは思わなかったから写真も手紙も髪一本すらもなーんも手元にないんだぞ。身体中につけられたキスマークも翌日には殆ど消えてしまったし。俺、新陳代謝が良すぎるんだよなあ。
三連休初日、祭日の金曜にカカシさんが発って土日は暇すぎるし寂しいしで掃除と洗濯を頑張った。唯一カカシさんの匂いのする服は全て、消臭柔軟剤入りの洗剤で洗っちまったのは失敗だったな。だから顔を埋めて匂いをかいでも微かな洗剤の匂いしかしない。
ベッドはほら、カカシさんが出立する前夜に体液で汚したもんだからシーツも枕も洗わなきゃならなかったけど。ちょうど季節の変わり目で、俺達の色んな液体をたっぷり吸い込んだ冬用のふかふか毛布も所々カピカピしてたから洗ったんだよなー。
それから暖かくなればそろそろ茶色い油虫が台所に出てくるからと、発煙方式の害虫駆除剤を焚いた。その後窓とドアを全開にして半日。
だからな、カカシさんの匂いはもうどっこにもない!
俺よく我慢してるよな。そろそろキレてもおかしくないと自分でも思う。
「おいイルカ、お前何本鉛筆折るんだ。」


あれーどうして帰れないんだろうなぁ。このオレが加勢しに来たってのになんで戦闘終わらないの。上が駄目なんだろうねえ、やだなー今すぐ帰りたーい。
あーごめん、心の声がつい口から漏れたね。口元を隠すマスクは顔を隠せても声はしっかり通しちゃうんだった、危ない危ない。
指名の応援要請だったから忍びでも片道二日掛かる道を一日半で来て、一日二日で片付けるつもりだったのに。来てみたら、境界線上でずっとあっちと和平交渉してるんだってね。えー一週間も掛かってんの。
あー隊長、進展あった? 全然? だからオレを呼んだんでしょ。うん、あいつらの弱みは山ほど握っているからね。いっけねえ忘れてた、五代目の書状をもらってくればその場で土下座して無条件降伏したじゃない。
あのね、オレ今もんのすごく我慢してんの。帰りたいの。実は来る前から帰りたかったの。あ、つまり来たくなかったわけよ。何ヵ月振りかでせっかく大事な人と休みが被ってたのにね!
祭日はアカデミーも休みで金土日の三連休、オレも任務の予定は何もない筈だったんだよ。なんでそんな時にオレに応援依頼してくるかな、クソったれ……。いや何でもないよ、しょうがないねえって君に同情したの、あははは。
でも冗談抜きでホントに我慢の限界が来そうだから、今すぐ全部終わらせてオレ先に帰るよ。
んじゃ、ちょっと行ってくるんであんたらも急いで帰る支度を始めて。
「すげえ、はたけ上忍交渉二分で終わらせて一日で里に帰るって行っちまった……。」
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