「それでは本日のゲームーゥゥ! お題は何を隠そう、ってやつだ。実は他里の草でとか、実はまだ童貞でとか色々あるだろ。」
三分やるからよく考えて、絶対言えよ。と脅されて、言わなかったらお札が二枚没収になる。
それが皆の飲み代に変わるのだからまだ救われるが、できればワリカンの額よりは出したくない。
飲み代は毎回一人あたりお札二枚で缶珈琲二本強のお釣りが来るから、このゲームで失敗するとちょい割高な飲み会となる、安月給には馬鹿にならない中忍教師の飲み会だ。
今日のお題には非常に困った。隠し事など殆どない程親しい仲間なのだ。
…けれど。
オレにはたった一つだけあったから。
「えーと、何を隠そうワタクシメ、昨日彼女に捨てられましたぁ!」
と、結婚願望が強すぎて重いといつも彼女に逃げられるクサキが叫んだ。
何人目だよ、と笑われてそれでも皆優しく酒を継ぎ足す。
いいな、オレはもう結婚できねーし。
「はい、何を隠そう婚約しました。」
男前のイケノが手を上げた。途端に頭からビールが掛けられた。お祝いだあ、とやけくそなクサキの叫び声にオレも同調してビール瓶を逆さに振った。
ちくしょう、婚約なんていう言葉はもう封印だ。
次、と声を張り上げた幹事のモモヤマが恨めしい。何でこのお題なんだよ。
「イルカァ!」
びしりと突き刺さるような指先に体が跳ねる。
来たか、どうする、どう誤魔化す。
「んーと、パス。」
「ねーよ、じゃ今日の全額払え。」
絡むな、スルーしてくれよ。ホント申し訳ない、言えないんだ。
「何を隠そう、同棲してます。」
うん、そう言いたいんだけどね。
…え?
空気が冷えた。沈黙が重い。隣の座敷の喧騒が遠く聞こえる。
「これでイルカも悩まずに済むでしょ。良かったね。」
カカシさん、とオレは振り返る事も出来ず呟いただけだ。
はいツッコめ、と何処かで声がした。
「質問っ! はたけ上忍とぉイルカがぁ、同居してるんですかあ?」
やけ酒でベロベロのクサキが先陣だ。
「ど・う・せ・い、だよ。」
恋人同士のね。と右目を細めて甘く言う、里の担い手の上忍。
「いつから、何で、何がナニして。」
いやいや、聞かないでくれ。
「俺が上忍師になって初めての挨拶で一目惚れしてね、その日から猛アタックよ。食事に誘い酒に誘い、二ヶ月で家に上げてもらってその日に酔った勢いで、掘りました。」
掘られたんか、と誰が言ったか、改めて聞くと自分の事ながら冷や汗ものだ。
「イルカも初めてだったから、責任取りますって土下座しましたよ。」
後ろが初めてだってだけだ、誤解を招くじゃないかよ。仲間達はオレのやんちゃな過去は知ってるけど。
えへ、と嬉しそうな上忍に何も言えず、ひきつった笑顔で皆は顔を見合わせている。
「…ありがとうございました、はいそれでは散会。」
「今日はイルカの分はオレらで払いますから。お祝いです、はたけ上忍。」
何故だ、皆、いきなりよそよそしくなって。目を逸らすなぁ!
オレの同棲相手は、お先にと帰っていく一人ずつに手を振り、今後も宜しくね、と愛想が良い。
だけど、明日からが面倒な事になりそうだ。三代目のじっちゃんの血圧は大丈夫だろうか。
そう実はまだ内緒だったのだ…。
三分やるからよく考えて、絶対言えよ。と脅されて、言わなかったらお札が二枚没収になる。
それが皆の飲み代に変わるのだからまだ救われるが、できればワリカンの額よりは出したくない。
飲み代は毎回一人あたりお札二枚で缶珈琲二本強のお釣りが来るから、このゲームで失敗するとちょい割高な飲み会となる、安月給には馬鹿にならない中忍教師の飲み会だ。
今日のお題には非常に困った。隠し事など殆どない程親しい仲間なのだ。
…けれど。
オレにはたった一つだけあったから。
「えーと、何を隠そうワタクシメ、昨日彼女に捨てられましたぁ!」
と、結婚願望が強すぎて重いといつも彼女に逃げられるクサキが叫んだ。
何人目だよ、と笑われてそれでも皆優しく酒を継ぎ足す。
いいな、オレはもう結婚できねーし。
「はい、何を隠そう婚約しました。」
男前のイケノが手を上げた。途端に頭からビールが掛けられた。お祝いだあ、とやけくそなクサキの叫び声にオレも同調してビール瓶を逆さに振った。
ちくしょう、婚約なんていう言葉はもう封印だ。
次、と声を張り上げた幹事のモモヤマが恨めしい。何でこのお題なんだよ。
「イルカァ!」
びしりと突き刺さるような指先に体が跳ねる。
来たか、どうする、どう誤魔化す。
「んーと、パス。」
「ねーよ、じゃ今日の全額払え。」
絡むな、スルーしてくれよ。ホント申し訳ない、言えないんだ。
「何を隠そう、同棲してます。」
うん、そう言いたいんだけどね。
…え?
空気が冷えた。沈黙が重い。隣の座敷の喧騒が遠く聞こえる。
「これでイルカも悩まずに済むでしょ。良かったね。」
カカシさん、とオレは振り返る事も出来ず呟いただけだ。
はいツッコめ、と何処かで声がした。
「質問っ! はたけ上忍とぉイルカがぁ、同居してるんですかあ?」
やけ酒でベロベロのクサキが先陣だ。
「ど・う・せ・い、だよ。」
恋人同士のね。と右目を細めて甘く言う、里の担い手の上忍。
「いつから、何で、何がナニして。」
いやいや、聞かないでくれ。
「俺が上忍師になって初めての挨拶で一目惚れしてね、その日から猛アタックよ。食事に誘い酒に誘い、二ヶ月で家に上げてもらってその日に酔った勢いで、掘りました。」
掘られたんか、と誰が言ったか、改めて聞くと自分の事ながら冷や汗ものだ。
「イルカも初めてだったから、責任取りますって土下座しましたよ。」
後ろが初めてだってだけだ、誤解を招くじゃないかよ。仲間達はオレのやんちゃな過去は知ってるけど。
えへ、と嬉しそうな上忍に何も言えず、ひきつった笑顔で皆は顔を見合わせている。
「…ありがとうございました、はいそれでは散会。」
「今日はイルカの分はオレらで払いますから。お祝いです、はたけ上忍。」
何故だ、皆、いきなりよそよそしくなって。目を逸らすなぁ!
オレの同棲相手は、お先にと帰っていく一人ずつに手を振り、今後も宜しくね、と愛想が良い。
だけど、明日からが面倒な事になりそうだ。三代目のじっちゃんの血圧は大丈夫だろうか。
そう実はまだ内緒だったのだ…。
スポンサードリンク
コメントフォーム