飛び付いたイルカを全身で受け止めたが、カカシの腕は宙をさ迷ったまま抱き返す事ができない。二人の間をチャクラが巡ってじわりと熱が高まっていくけれど。
いいのだろうか、イルカに覚悟があるのだろうか。
「いいの?」
カカシは声が震える程余裕のない自分に驚く。あまりに大切な存在だからどう扱っていいか解らないなんて、生まれて初めての事だ。
ましてやいいの、なんて即物的すぎてイルカにどう取られたか言葉を発してから失敗したと気付いた。
だが顔を伏せたままイルカは小さく頷き、暫し躊躇ってから顔を上げてひとことだけカカシの耳に囁いた。
「貴方のものに。」
馬鹿みたいに簡単に昂る下半身を無理に押さえ付ける必要はもう、ない。
突き上げるような興奮がカカシを襲った。腕をイルカの身体に回す事はやめ、掬い上げて立ち上がる。
大人の男一人を持ち上げてもびくともしない、鍛え上げられた身体にイルカは息を飲んだ。
小さく柔らかな女を持ち上げた事はあるが、まさか自分がされる方になるとは思わなかったから咄嗟に暴れたのは仕方ない。訳の解らない興奮に戸惑いながら、イルカは身を捩った。
「捕れたてのイルカは生きがいいね。」
笑って頬に唇を寄せたカカシが余裕のあるように見えたのは全く気のせいだ。よく見ればカカシの顔には汗の粒が浮かんでいたのだから。
イルカの掃除してくれたベッドに、そのイルカをそっと降ろした。あれからも使った事はなく、少し埃臭いかなあとカカシは独り言を溢した。
「新品のベッドの使い心地が、イルカ先生の気に入るといいんだけど。」
使い心地、って。せめて寝心地と言うならまだこれ程恥ずかしくはないのに。
これから起こる事を考えないように気を逸らしてみるが、結局は同じだと気付いたイルカは枕を抱いて顔を隠してしまった。
腕からするりと枕が抜ける。カカシが困ったような笑顔でイルカを見ていた。
「オレはこっちでしょ。枕にだって妬いちゃうよ。」
だからどうして、そんなに気障な台詞が次から次へと出てくるんだ。経験の差かよ。
イルカが顔を横に背ければパチパチと音がして、装備を外されていくのが解る。えっと声が出ても手は止まらず、くるりと横を向かされベストから腕を抜かれていた。
思わずカカシの方を振り向けば、カカシの上半身は既に布を纏っていなかった。
イルカは起き上がり、カカシから距離を取ろうと後ろへ下がっていった。だがベッドは窓際に置かれていた為に、すぐに背中に窓枠が当たった。
イルカの目が泳ぐ。カカシがベッドに乗り上げイルカの前へとにじり寄る。
「あの、決して嫌とかじゃなくて、」
申し訳なさそうに言われ、そうだねとカカシは真っ赤な顔に手を当てた。見れば解る。いきなりこんな展開じゃ、誰だって怖じ気づくだろう。
でもね、もうこれ以上我慢しないから。そう告げたカカシはイルカの身体を押し倒した。硬めのスプリングが僅かに二人を跳ねさせる。
「アンダーシャツって面倒だね。」
万歳して、と子供扱いにイルカは少し笑った。素直に両腕を伸ばすと捲られたシャツが一旦視界を塞いで息苦しくなった。布が頭を通り抜けるとすぐに明るくなり、思わずぷはぁと息を吐く。
纏めてあったイルカの髪がぐしゃぐしゃになって、カカシは根元のゴム紐をほどこうとしたが解き方が解らなかった。イルカは肘を着いて身体を起こし、ゴムをぐいと引き抜き勢いよく頭を振った。
ばさりと落ちた髪は以外と長く、肩まであった。全体の色は真っ黒だが、毛先は傷んで所々日焼けで茶色だ。手入れをすれば風に靡くさまはとても綺麗なんだろうなと、カカシは暫く指で遊びながらうっとりしていた。
「やっぱり女の方がいいんじゃないですか。」
長い髪を見て考え直したのかとイルカは低い声で唸る。違うって、と頬にキスをしカカシはイルカの鼻先をちょんとつついた。
「イルカ先生の髪を下ろした姿は初めて見るじゃない、感激してたの。」
「気持ち悪い、の間違いでしょう。」
いいや、凄く艶かしい。
もう一度押し倒しながら耳にそう吹き込むとイルカはとても小さく、馬鹿と返した。
素肌を触れ合わせれば、チャクラが二人の間をぐるぐる巡るのが解る。お互いの息がはあはあと忙しなく聞こえて、まるで獣のようだ。
部屋は真っ暗だけど、忍びは暗闇でも支障はない。イルカはそれが少し恥ずかしかった。
身体の奥まで暴かれる。俺が望んだんだけど、カカシ先生に全てを見せてしまって幻滅されるのが怖い。
「考え事?」
「あの、本当に俺で、」
いいのかと言う前に唇を塞がれた。最初から深く舌を差し込まれる。かつんと歯がぶつかって、カカシは集中しなさいと微笑んだ。
「オレの方が幻滅されるんじゃないかって、物凄く不安なんだから。」
物凄く、という箇所にカカシは力を籠めた。
そうか、同じなんだ。ほっとしたイルカはカカシの首に腕を回して引き寄せた。
仕切り直して唇を合わせる。
巡るチャクラで昂った神経が、次第に落ち着いてきた。
いいのだろうか、イルカに覚悟があるのだろうか。
「いいの?」
カカシは声が震える程余裕のない自分に驚く。あまりに大切な存在だからどう扱っていいか解らないなんて、生まれて初めての事だ。
ましてやいいの、なんて即物的すぎてイルカにどう取られたか言葉を発してから失敗したと気付いた。
だが顔を伏せたままイルカは小さく頷き、暫し躊躇ってから顔を上げてひとことだけカカシの耳に囁いた。
「貴方のものに。」
馬鹿みたいに簡単に昂る下半身を無理に押さえ付ける必要はもう、ない。
突き上げるような興奮がカカシを襲った。腕をイルカの身体に回す事はやめ、掬い上げて立ち上がる。
大人の男一人を持ち上げてもびくともしない、鍛え上げられた身体にイルカは息を飲んだ。
小さく柔らかな女を持ち上げた事はあるが、まさか自分がされる方になるとは思わなかったから咄嗟に暴れたのは仕方ない。訳の解らない興奮に戸惑いながら、イルカは身を捩った。
「捕れたてのイルカは生きがいいね。」
笑って頬に唇を寄せたカカシが余裕のあるように見えたのは全く気のせいだ。よく見ればカカシの顔には汗の粒が浮かんでいたのだから。
イルカの掃除してくれたベッドに、そのイルカをそっと降ろした。あれからも使った事はなく、少し埃臭いかなあとカカシは独り言を溢した。
「新品のベッドの使い心地が、イルカ先生の気に入るといいんだけど。」
使い心地、って。せめて寝心地と言うならまだこれ程恥ずかしくはないのに。
これから起こる事を考えないように気を逸らしてみるが、結局は同じだと気付いたイルカは枕を抱いて顔を隠してしまった。
腕からするりと枕が抜ける。カカシが困ったような笑顔でイルカを見ていた。
「オレはこっちでしょ。枕にだって妬いちゃうよ。」
だからどうして、そんなに気障な台詞が次から次へと出てくるんだ。経験の差かよ。
イルカが顔を横に背ければパチパチと音がして、装備を外されていくのが解る。えっと声が出ても手は止まらず、くるりと横を向かされベストから腕を抜かれていた。
思わずカカシの方を振り向けば、カカシの上半身は既に布を纏っていなかった。
イルカは起き上がり、カカシから距離を取ろうと後ろへ下がっていった。だがベッドは窓際に置かれていた為に、すぐに背中に窓枠が当たった。
イルカの目が泳ぐ。カカシがベッドに乗り上げイルカの前へとにじり寄る。
「あの、決して嫌とかじゃなくて、」
申し訳なさそうに言われ、そうだねとカカシは真っ赤な顔に手を当てた。見れば解る。いきなりこんな展開じゃ、誰だって怖じ気づくだろう。
でもね、もうこれ以上我慢しないから。そう告げたカカシはイルカの身体を押し倒した。硬めのスプリングが僅かに二人を跳ねさせる。
「アンダーシャツって面倒だね。」
万歳して、と子供扱いにイルカは少し笑った。素直に両腕を伸ばすと捲られたシャツが一旦視界を塞いで息苦しくなった。布が頭を通り抜けるとすぐに明るくなり、思わずぷはぁと息を吐く。
纏めてあったイルカの髪がぐしゃぐしゃになって、カカシは根元のゴム紐をほどこうとしたが解き方が解らなかった。イルカは肘を着いて身体を起こし、ゴムをぐいと引き抜き勢いよく頭を振った。
ばさりと落ちた髪は以外と長く、肩まであった。全体の色は真っ黒だが、毛先は傷んで所々日焼けで茶色だ。手入れをすれば風に靡くさまはとても綺麗なんだろうなと、カカシは暫く指で遊びながらうっとりしていた。
「やっぱり女の方がいいんじゃないですか。」
長い髪を見て考え直したのかとイルカは低い声で唸る。違うって、と頬にキスをしカカシはイルカの鼻先をちょんとつついた。
「イルカ先生の髪を下ろした姿は初めて見るじゃない、感激してたの。」
「気持ち悪い、の間違いでしょう。」
いいや、凄く艶かしい。
もう一度押し倒しながら耳にそう吹き込むとイルカはとても小さく、馬鹿と返した。
素肌を触れ合わせれば、チャクラが二人の間をぐるぐる巡るのが解る。お互いの息がはあはあと忙しなく聞こえて、まるで獣のようだ。
部屋は真っ暗だけど、忍びは暗闇でも支障はない。イルカはそれが少し恥ずかしかった。
身体の奥まで暴かれる。俺が望んだんだけど、カカシ先生に全てを見せてしまって幻滅されるのが怖い。
「考え事?」
「あの、本当に俺で、」
いいのかと言う前に唇を塞がれた。最初から深く舌を差し込まれる。かつんと歯がぶつかって、カカシは集中しなさいと微笑んだ。
「オレの方が幻滅されるんじゃないかって、物凄く不安なんだから。」
物凄く、という箇所にカカシは力を籠めた。
そうか、同じなんだ。ほっとしたイルカはカカシの首に腕を回して引き寄せた。
仕切り直して唇を合わせる。
巡るチャクラで昂った神経が、次第に落ち着いてきた。
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