カカシは悩んでいた。イルカがクリスマスというものをやってみたいと言い出したからだ。
まだ二人はお付き合いまでには至っていないが、イイカンジではある。

誰かが任務先から持ち帰った雑誌に、とても綺麗なイルミネーションの街が写っていたのを見て、イルカが本物を見たいと言い出したのがきっかけだった。特に常緑の巨木に巻かれた色とりどりの電球は見事だったのだ。
外国の文字は殆ど読めなかったが、多彩な写真を見ればおぼろ気ながら理解はできる筈だった。
筈だったが。

火影の執務室のある棟が円錐形に一番類似しており、かつアカデミーに近いのでイルカも子ども達も喜ぶだろう。よし、ここで男を見せて恋人になろうと、カカシはこっそりと決行した。
ある夜カカシは電球の束を何百本と抱えて屋根から壁から飛び回り、朝までに棟全てを飾り終えた。
では今夜見てくださいと、胸を張ってカカシはイルカに言った。

さあこれが俺の気持ちです。
一斉に点灯してみれば、まるで大人の歓楽街…だった。

茫然自失のカカシの後ろでは、そんなにヤリたかったのかい、と怒りに震える綱手が半泣きのイルカをあやしていた。

そして翌日のカカシの覆面から見えている右目の青あざは、イルカの拳のサイズだいや綱手だと噂が飛び交ったのだった。
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