あたし達がアカデミーを卒業して初めての、イルカ先生の誕生日。
散々迷惑を掛けてお世話になって、あたし達も下忍として初めて任務の対価を手にしたから何がいいかなって皆で相談したの、そしたら皆答えが違ったの。
あたしはね、先生がいつも使うペンがいいって言ったのよ。
そしたらキバが男はそんなもん欲しくねえ、財布なんかいいだろって煩かったけど。結局、仲間の先生達がお財布を贈る相談をしてたとかでシノに却下されたの。
いのはやっぱりお店の赤い薔薇を百本、なんて言うから聞こえなかった事にしたわ。
リー君とテンテンがクナイとかの暗器はどうかと提案して、全員一致で決まったんだけど金額的に無理だったの。凄く残念だったわ。
ナルトは一楽のラーメンとしか言わないから、殴って黙らせて。
皆解んなくなって、紅先生とアスマ先生とガイ先生にも聞いてみたの。大人だったら何か欲しいって聞いてるかもしれないでしょ。…まあ無駄だったわ、酒か女だって。ああもう、大人って爛れてるわね。案外頼りにならないし。
そうこうするうちに明日となっても皆あたふたしてるだけで。そう昨日のことね、任務終わりの夕方に皆で集まったの。でもやっぱり何も決まらなかったわ。
そしたらイルカ先生がアカデミーから出てくるのが見えて、ヒナタが皆隠れて見ててねって言うのね。言われた通りにしたら、ヒナタがお父さんに贈り物をしたいから相談にのってくれって切り出したの。で、話をしながらこっそり遠回しにイルカ先生に聞いてくれたのよ。先生だったら何がいいですかって。
そしたらね、照れたように普段は目立たないけど光を受けてきらきら輝くとっても素敵なもの、って答えてくれたの。
ヒナタがよく解りませんって聞き返すと、イルカ先生は自分が貰える筈はないからなって寂しそうな顔をしたわ。
それからね、声には出さないけどあの人は、って口が動いたのよ。
あたし達、って言っても女の子だけなんだけど…すぐ解っちゃったのよね。

今日は任務上がりにあたし達がお祝いするからって言って、イルカ先生を自分の部屋で待たせてるの。

「カカシ先生、皆からの贈り物をイルカ先生に届けて欲しいの。はいこれがイルカ先生への手紙。え、手紙だけ、じゃないわよ。いいから行って、早く!」


――イルカ先生、お誕生日おめでとうございます。
皆からの贈り物を受け取ってください。きっと気に入っていただけるでしょう。――



カカシ先生がイルカ先生の誕生日をあたしに聞いてきた時から変だと思ってたのよね。
誕生日が過ぎてなくて良かったわ、だって来年までうじうじしてそうじゃない?

「ねえサクラ、あんたんとこ明日は任務なさそうね。」
「そうかも…ね。」
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