変な術を掛けられたもんだな。自分で編み出したにしても稚拙すぎる。

あの、それが、生徒が書庫で見つけた巻物が…どうも間違って禁書庫行きの物だったらしくて。

で、イルカが開いたのか?
その生徒はどうした。

不審な物はやたらと開けないように言ってますから、表の色柄が特殊なそれを見た事がないからと持って来たんです。
私が預かって、放課後に思い出して開く前に周りにも聞いたのですが誰も知らないと言うので…仕方なく。

開けてみたらこんな事になったと。

はい、すみません。

いやお前が謝る事はない、事故だ。事故なんだが、何でよりによってカカシなんだ。

はあ、そうですよねえ。
ねえカカシさん、何でわざわざ術の相手になってくれたんですか。

だってたまたま通りかかって職員室の扉の隙間からわあわあ騒ぐ声が聞こえたんですもの。
巻物を読み進める内にイルカ先生が読んだのは呪文だって判って、しかも顔を上げて一番先に見た人しか見えなくなる、なんて変な事を言ってるじゃないですか。
皆が顔を上げるな、暗号解読班が来るまで目を瞑れ、いや目隠しだ、なんて大騒ぎして大変そうで。

だからって…。
そしたら解術できるまでカカシさんに手を引かれなきゃ誰かと、てかカカシさん以外の人とぶつかるんですよ。

なあイルカ、あたしは見えないのか?

はい、お声だけはそこから聞こえるので綱手様がいらっしゃるのは判るんですが、気配も感じられなくて。本当にそこにいらっしゃいますか。

こらこら触るな、お前の手の先はあたしの胸だ。
はあ…何か面倒だねえ。それで、解術はできそうなのかい。

ええ、今暗号解読班がやってますから多分その内に。

何だいカカシ、さっきから暗号解読班だとか言うが、そんなに大変なのか。

推理小説好きが作ったみたいで、何だか解らない記号化されてるんですよ、解術法が。

まあ害がなけりゃいいか。暫くカカシに面倒見てもらえ、イルカ。

え、いや綱手様。カカシさんは任務があるから…。

いいんです、イルカ先生。オレだけ見ていてもらえるなら溜まった任務も頑張れますから。

はあ、見えるのはカカシさんだけですけど。

じゃあ行きましょうか、絶対手を離さないでくださいね。



綱手様、あのですね。

何だいシズネ。

あれ作ったの、実はカカシさんなんです。

はあ? 何の為に?
何で芝居してるんだ?

いやほら、イルカさんがあまりにもニブイから強行手段に出たわけですよ。

お前も共犯か?

ええその、もしもって時の解術法は教えてもらいましたが、あはは。

甘栗甘一ヶ月ってとこか? まあいい、ほっとけ。
…しかしほだされやすいイルカの事だ、このまま流されるのは見えてるよなぁ。

多分ですね、カカシさんの口説き文句は『オレだけ見ていて』で、イルカさんは元に戻っても『はい、今でもあなたしか見えないから手を離さないで』って手に手を取って…。
きゃあ素敵ぃ。

…おーいシズネ、帰ってこーい。
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