だーれかさんが、だーれかさんが、

甲高い声で喚くように歌うのは、アカデミーの低学年。

だーれかさんがみーつけた。

続きを歌ってやり、繰り返して歌わせるのはイルカ。

忍者の養成に音楽は必要はないから、とアカデミーでは教えない。

季節行事の話を生徒とした時に、行事の歌も知らないと驚いて、時間が余った授業終わりの五分とか急いで帰る必要のない時に、女性教師が一曲教えたのがきっかけだった。
それは雛祭りか鯉のぼりだったか。

夕方の校庭から聞こえた歌声に不思議そうな顔をした綱手に、そんな経緯をカカシが話したら、最近は家庭でも童謡なんか歌ったりしないんだねぇ、と綱手は窓の外を見やった。
五人六人と従えて歩きながら、子どもの高い声に合わせて歌うイルカは時々声が裏返る。
カカシと綱手はくくっと笑って微笑みあった。

イルカ先生はね、よく俺に子守唄を歌ってくれるんです。わかるんでしょうね、俺の心のトゲが。

でもね、俺もわかっちゃうんです。あの人もそうやって歌って自分の心のトゲを溶かしてるの。
それから、たまにね、窓辺で空なんか眺めながら色んな歌を歌ってたりするんですよ、あの人は。
言葉でなく歌だと心に凄く染み込むのって不思議ですけど、ま、どうでもいいことで。

イルカ先生告白とか苦手で、絶対好きだって言ってくれないけど、歌だと愛を囁いてくれるんです。
それもそれでいいんですよ、俺幸せですからねー。
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