「誤解です!」
「ここは築三十年のボロアパートの二階の俺の部屋です。」
「だからそうじゃなくて、」
「そう、とは何を指して?」
「せんせ、挙げ足取るのやめて。」
「挙げ足取るのも戦法のうちですが。」
「やめて、オレせんせの口には勝てないから。」
「口には、ね……。確かに俺が貴方に勝てるのは口だけですよね、もうすぐ六代目になられるはたけ上忍。」
「違う、そうじゃない。」
「だから、何がそうじゃないんでしょうか。」
「ここが二階のせんせの部屋だとかじゃなくて、せんせはオレについて誤解してるってことです。」
「ほお、この期に及んで弁解ですか。」
「べん……、ああもういいです弁解で。弁解させて下さい。」
「どうぞお気の済むまで。まだ陽の残る夕方五時ですから、俺の出勤間際の朝七時までお聞きできますね。」
「せんせ酷い。……だからですね、」
「はい。」
「せんせの誤解なんです。」
「どうして最初に戻るんですか。結論から話すのはとりあえず相手を落ち着かせる為には有効ですが、誤解ですなんて言葉は誤解ではない前例を山ほど存じてますので逆効果なんですよね。さっさと弁解の内容をお話し願います。」
「はっ、はい。えと、せんせ、待機所で髭が言ってた年貢の納め時ってのは上から持ってこられた縁談の事ではなく。」
「はい。」
「受付の端で紅の言ってた引っ越しというのもオレがせんせの部屋から出ていくのではなく。」
「はい。」
「執務室で五代目の言ってた結婚式というのは、」
「はい。」
「婚姻届が出せないオレと貴方の為にせめて式を上げて写真だけでも残してやりたいという話で。」
「え、」
「だから! ずっと迷ってたオレがちゃんとプロポーズして結婚式を挙げてせんせと一緒に火影屋敷に引っ越して里の民にお披露目をしようという、仲間達のサプライズだったんですよ。」
「う、そ、」
「せんせ、せんせ、気絶するのは全部終わってからにして! これから式なんだから!」


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