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勢いでペニスは根元まで入った。だが気を抜けば重力に従いイルカの腰が落ちて、それはするすると抜ける。腰を上げて再び根元まで突っ込めばイルカはまたぴりっと痛みに襲われた。
「大丈夫です。」
太腿でカカシの腰骨を挟んだまま、今度はしっかりと言えた。笑う事もできる。
抱えていた頭を離して顔を付き合わせると、愛しい人は泣きそうな困った顔をしていた。遠慮しないで、と唇に噛み付くと腹の中のペニスが膨れたように感じる。こうしてカカシの形を覚えていくんだとふと思って、イルカの胸には温かくて切ない感情が広がった。
「愛してる、イルカ。」
カカシの口から自然に言葉が零れた。
愛してる、他に言葉はない。けれどその言葉でも表しきれない感情なのだ。
性欲の処理ではなく、愛してるから繋がりたい。愛してるから、与えて与えられたい。
さっきのイルカの行動で襞に表皮を剥かれて快感の大波が来る筈が、驚きすぎてそれどころではなかった。だがすっぽりと埋もれているペニスが、熱を感じて弾けさせろと要求してくる。そろそろ本当に、我慢できない。
「動くね。」
カカシが膝を立てればぎしりとスプリングが鳴った。イルカの顔の脇に手を着き両脚を腰に絡めるように回してやって、手も自分の脇の下から背中へと誘導する。
ペニスをゆっくり抽挿させると、イルカの眉がしかめられた。痛いのかと聞く前に背中をぺしりと叩かれ、いいからと咎めるように口が動いてカカシはイルカの中を穿ち始めた。きついけれど痛い程ではない。
ふうふうと忙しない自分の息に、切羽詰まってるんだなと思う余裕がまだある。擦れる襞が次第に柔らかくなってきたような気もしてきた。イルカの痛みが薄らいだらしい。
痛みの代わりに訪れてきた感覚に、イルカは思考を放棄して身を任せた。じわじわと下腹部から快感が沁み出してくる。カカシのペニスが襞を擦る度に声にならない息が漏れた。
いやぁ、と首を振ったのは笠がそこを擦ったからだ。ぐりぐりと回し突き上げるカカシは、腰に回させたイルカの脚が落ちていくと膝裏に手を当てた。身を乗り出して、入れられるだけ奥へとペニスを押し込む。イルカの膝は胸に着き、後孔に飲み込まれた己れのペニスをカカシは正面に見た。
潤滑剤が泡立ちながら抽挿を助けて、ペニスは滑らかに入っては出てを繰り返す。隙間のない穴の口の粘膜が、動きに伴い捲れるさまが生々しい。
息を整える為に動きを止めた間にイルカの手が股間に伸び、カカシはそこを覗き込んだ。
はち切れんばかりに膨れ上がったイルカのペニスがあった。イルカも男だという事を忘れていた。
イルカの手がペニスを掴むと、カカシはその上に手を添えた。
「ごめん、イルカもイキたいよね。」
一緒には無理かもしれないけれど。
「自分、で、やるから、カカシさんは、動いて。」
喘ぐ合間にそう言い放つと、イルカはカカシの手を外して両手で扱き出した。
思わず動きを止めてその様子を見てしまう。他人の自慰を見て楽しいなんて、オレは変態なのかも。
うふふ、と漏れた声にイルカが見るなと力を込めて睨んだ。
我慢の限界を越えたか、視線を天井に流してイルカの手の動きが速まっていく。指の間から溢れてくる体液が手の甲を流れて、それを見ているだけでカカシもまた我慢などできなくなった。
カカシがぐちぐちと大きな音を立てて抽挿を再開すると、ペニスを襞が締め付けてきた。イルカの絶頂が近いらしい。カカシも絶頂に向けて腰を打ち込み、ぐるりと回す。
ひときわ強く締められて、直後にイルカの小さな叫びと共にカカシの腹に温かな飛沫が飛んだ。
腰を打った瞬間だった為、絞るようにペニス全体を締め付けられてカカシも中へと放ってしまった。
身体中が弛緩し、イルカの上にそっと被さる。
啄むようなキスをし見詰め合うと途端に羞恥が二人を襲った。やっちゃった、という事実が転げ回りそうに恥ずかしい。
いい大人が何をもじもじしてるんだとは思うものの、これ程の充実感は味わった事がなかったのだ。誰かに吐き出してもそれは身体が満足しただけ。
これ以上の心の安らぎなんて、絶対に他の人では味わえない。
「…始末しないと。」
今日はもうイルカに無理をさせられない。カカシが起き上がると、イルカの視線が追って動いてきた。
「何?」
「白い。綺麗。」
手を伸ばして胸から臍へと撫でる手付きがまだ敏感なままの肌に官能を呼び起こしそうになって、思わずイルカの手首を掴んだ。
「もう煽らないで。明日起きられなくても知らないよ。」
その言葉にくすりとイルカが笑う。
「朝は必ず同じ時間に目が覚めます。けど心配なら夜に起こしてもらいましょうか。」
同衾している姿を見られてもいいの、とカカシが尋ねればイルカはうわあと両手で顔を隠した。流石に母か姉かという関係の夜に、例え山猫といえど見られては恥ずかしい。
「でもさ、夜はこういう事になるからって帰ったんじゃないの?」
ああ忘れてた、とイルカは頭を抱えた。
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