カカシ先生が死んだ。
写輪眼の使い過ぎで、でも最後に残った力で部下を庇ったと。

息を引き取っただろうその時間に、イルカは突然胸に鋭い痛みを感じて教室で倒れた。

目覚めてから綱手に聞いたのは、死んだとだけの第一報だった。
他に知らせる者がいないから、と綱手は俯きすまないが色々な手続きは頼む、といつにない弱々しい声でイルカに頭を下げた。
ぎこちなく微笑んでうなづき一週間、イルカは耐えて慰霊碑にカカシの名が刻まれるまで全ての責任を負った。そして
イルカは床に伏した。
翌日から眠り続け痩せ細り、綱手の治療もまるきりきかないまま、カカシの死からちょうど四十九日目にイルカは息を止めた。
うっすらと頬に赤みがさし、満足気に微笑むその顔はカカシと見つめ合う時のようだと、葬儀に集まった者達は皆思った。
ああカカシの奴、迎えに来たんだな。
綱手の呟きにサクラがうなづく。
術が、解けなかったから。
鳴咽と途切れ途切れの言葉を吐きながら、ぼろぼろと零れる涙を拭こうともせずイルカの棺に縋り付いた。
毎日イルカの元へ通い目を覚まさせようとあらゆる手を尽くした末に、イルカが自分で掛けたのかカカシが掛けたのか解らなかったが死に至るであろう術を、見つけた。綱手にさえ解けなかったそれを、サクラは諦めなかった。そしてイルカの最期を看取ったのは疲れ切ったサクラにチャクラを貸そうとたまたま訪れたナルト、そのナルトを連れて来たシズネの三人だった。上忍であるシズネはその時、結界が破れるような音を聞いたと言い、サクラは立ち上る知った気配を感じ、ナルトはなんと身の内の九尾の頭を撫でるイルカの幻を見たと言う。
イルカ先生、笑って狐に俺を食い破るのはよしてくれよなって言ったんだ。
ナルトは涙を落とさないように、サクラとは逆に上を向いた。
イルカさんは一緒にご自分の葬儀の手配もされていたようです。流石ですねぇ、お二人のお墓はカカシさんが用意していたらしいですよ。
シズネは半ば呆れたように、小声で綱手に話し掛けた。
あいつら半身同士だったからなぁ…
空を見上げた綱手の声もかすれて震えていたのは風のせいだったか。